有権者に訴える中村喜四郎氏(C)朝日新聞社
有権者に訴える中村喜四郎氏(C)朝日新聞社

 対照的に士気が上がるのは自民党の藤原陣営だ。

「直近2回の衆院選では、差はつけられたが、粘って比例復活して票を上積みしてきた。これまで選挙中、相手の背中が見えることはなかったが、今回は見えてきた。大番狂わせのチャンスだ」(藤原陣営の県議)

 もう一人、苦戦している大御所がいる。「無敗の男」として知られる茨城7区の中村喜四郎氏だ。

 自民党時代はプリンスと呼ばれ建設大臣、科学技術庁長官などを歴任した。ゼネコン汚職事件で1994年に失脚したが、這い上がり、無所属で当選を重ねたこと14回。

 中村氏と議席を争ってきた自民党の永岡桂子氏は5回連続で比例復活での当選だが、2017年の衆院選では15000票差まで迫った。今回は維新の新人、水梨伸晃氏も参戦している。

 中村氏は選挙になるとバイクにまたがって演説会場をはしご。1回の演説に1時間を費やして、集まった有権者と握手するという独自の中村スタイルの選挙戦は地元では有名だ。その手法は「田中角栄最後の弟子」と呼ばれるほど徹底した有権者目線だ。

 ゼネコン汚職事件後はずっと無所属で小選挙区当選を果たしてきた中村氏。今回、決定的に違うのは、立憲民主党からの出馬という点だ。中村氏は選挙戦終盤の演説でその理由を説明している。

「今回は野党がまとまってきました。(ゼネコン汚職事件で)有罪判決になったが、あきらめずやってきた。政権交代となれば国民の方を見た政治になってくる。国民をなめた政治がなくなる。私は立憲民主党へ好きで入ったのではない。弱いものを強くするためです。なんで弱いのか?与党はまとまっているが、野党はバラバラ。まとめていくのは、頭を下げること。だから私は入った」

 中村氏の後援会幹部は接戦になっている理由をこう語る。

「これまで中村先生の後援会、喜友会が中核になって応援してきました。そこに公明党の推薦もありました。今回は中村先生が立憲民主党から出馬となったことで、自民党の永岡氏に公明党がついたことで接戦となっている」

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大ベテランの勝負への執念とは?