有権者に訴える小沢一郎氏(C)朝日新聞社
有権者に訴える小沢一郎氏(C)朝日新聞社

 10月31日の衆院選の投開票日まであと3日と迫ってきた。

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 激しい選挙戦が展開され、これまで衆院選で圧勝してきた立憲民主党の大御所、2人が今回は大苦戦しているという。

 岩手3区は長年、政界を牛耳ってきた小沢一郎氏の地盤だ。当選17回、数々の要職を自民党、旧民主党で歴任した。

 だが、マスコミ各社の世論調査の数字では、自民党の藤原崇氏とほぼ互角と接戦が続いている。

「しばらくぶりですけど、地元のみなさんに選挙戦の第一声をお届けすることでご支援を賜りたい」

 選挙戦初日に小沢氏は地元でこう声を上げた。だが、小沢氏の支援者は不安気に話す。

「小沢先生が公示日に地元で演説するなんて何十年も見たことがない。これまでは選挙前から当選が決まったようなムードで、相手の票数をどれぐらい上回るかが、話題になっていたほど。新聞などで小沢先生が厳しいと書いてありますが、本当なのでしょうか」

 今回の選挙戦でも小沢氏は小さな台に上がり、政策、政権交代を訴える独自のスタイルは変わらないという。

「国民の生活が第一という政治を実践したい、今回の選挙戦、大変厳しい。ご支援をお願いします。万年野党から政権交代を言い続けてきた。それが目標だ」

 小沢氏が演説をはじめると、吸い寄せられるように人が集まる光景も変わらないという。それなのになぜ、「小沢離れ」が地元で進んでいるのか。

「変わったのは地元にいる日数です。ほとんど張り付き、どぶ板状態といっていい。昔は地元に1日も戻れず、陣営だけで選挙していましたからね。これまで地元では小沢氏に政権交代、総理総裁という夢を託していました。しかし、今の野党ではとても難しい。それに小沢先生自身が野党のトップでもなく、総理総裁になることもない。小沢先生を支援してきた人たちが高齢化し、有権者の世代交代という面もある」(小沢氏を支援する地元の県議)

 もともとの地盤は岩手4区だったが、区割り変更で選挙区が一つ減って区域が広がり、3区となった。4区時代は8万票ほどの大差をつけて圧勝してきた。3区でも2~3万票の差をつけていた。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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「無敗の男」立憲民主入りで、公明票が自民へ