今年の誤算として上げられるのが、丸佳浩だ。6月に故障以外で広島在籍時以来9年ぶりにファーム降格を味わうなど、打率.255、20本塁打、50打点。勝負の夏場で調子が上がらず、スタメンを外れることも珍しくなかった。広島で3連覇、18年オフにFA巨人移籍後も連覇に大きく貢献して「1人5連覇」を成し遂げたが、相手も当然研究してくる。投手が長くボールを持ったりクイックで投げるなど、丸が右足を上げて下ろすタイミングをずらすための策を施している。

 体にキレがない、直球に弱い、スランプに入ると長いなど指摘されてきたが、他球団のスコアラーはどう見ているだろうか。

「松原聖弥が成長してきましたが、いくら不調でも丸の方が断然怖い。そもそも、丸は広島時代からスランプが長い。広島の黄金時代は後ろを打つ4番の鈴木誠也がカバーするなど勝っていたから目立たなかっただけで、緒方孝市前監督は我慢強く使い続けていた。あのクラスの選手はスランプから脱出するためには試合に出続けるしかない。試合に出たり出なかったりでは戻る調子も戻らなくなる。直球に弱いと言われますが、甘く入った球はきっちり捉えている。下位の7、8番でも丸がスタメンに名を連ねた方が嫌ですね」

 確かに打率が高いとは言えないが、出塁率.351は坂本勇人の.365に次ぐチーム2位。得点圏打率.296はチームトップだ。6年連続20本塁打をマークとまだまだ長打力に陰りは見えない。リーグ3連覇は叶わなかったが、まだCSが控えている。「短期決戦に弱い」とも言われるが、丸の活躍がカギを握るのは間違いないだろう。(竹下洋介)