「四球」に苦しむ大谷翔平(GettyImages)
「四球」に苦しむ大谷翔平(GettyImages)

「大谷が本塁打を獲るのは至難の業です。投手がまともに勝負しないですから。米国は多様性の国というが、アジアの人間が本塁打王を獲るのを望んでいない人達が多くいる。残念ながらこれが現実です」

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 米国駐在の日本人記者はため息をつく。

 日本人初の本塁打王を狙うエンゼルス・大谷翔平だが、日本時間23日のアストロズ戦で2打席連続敬遠を含む自身最多の1試合4四球。24日の同戦でも初回の見逃し三振を除き、2打席目以降は3四球とまともに勝負してもらえない。敬遠ではないが、徹底した外角攻めでボール球を投げられてはチャンスがない。この試合に限った話ではない。シーズン終盤に入り、1試合の打席でストライクがほとんど来ない状況が増えた。こうなると、46本塁打のブルージェイズ・ゲレーロJr.、ロイヤルズ・ペレスを1本差で追う構図をひっくり返すのは難しい。

「不可解なのはアストロズがアメリカン・リーグの西地区で首位を独走し、地区優勝がほぼ間違いない状況なのに、大谷との勝負を露骨に避けたことです。大谷と本塁打王を競う選手がいるわけでもない。ゲレーロJr.、ペレスと対戦した際に同じ攻め方をするかといったら疑問ですね」

 投打で異次元の活躍は日本だけでなく、米国でも話題の的になっている。一方で、今回のような露骨な「四球攻め」や、故意死球なども見られる。16日のホワイトソックス戦は物議を醸した。6点リードの9回2死走者なしで、マイク・ライトの危険な球が次々に大谷を襲う。内角をえぐる2球目で大谷は大きく腰を引き、3球目はワンバウンドで捕手が後逸。4球目に大谷の右ふくらはぎを直撃した。この2日前に行われた3連戦初戦で、ホワイトソックスの3選手が死球を受けていたため、大谷が「報復の標的」になった可能性が高い。大リーグ機構(MLB)は、故意死球を投じたとしてライトに3試合、ラルーサ監督に1試合の出場停止を科した。

 メジャーでプレー経験のある日本人選手はこう話す。

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潜在的にあるアジア人選手に対する差別