米国ワシントン大学の研究所チームの予測によると、2100年の日本の人口は、世界で38位となる(本書より)
米国ワシントン大学の研究所チームの予測によると、2100年の日本の人口は、世界で38位となる(本書より)

 最新刊『世界100年カレンダー』(朝日新書)で、「人口を追えば、未来は見えてくる」と説くジャーナリスト・河合雅司さんは、「このままいけば、2100年に日本人は“絶滅危惧種”となる」と看破する。そんな日本のリアルな現在地について本書より紹介する。

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■人口減少の現在地

 21世紀とは、これまでその数を増やし続けてきた人類が、ついに長い長い“絶滅の道”を歩み始める分かれ道の世紀となる。人々はどこで分かれ道を選び、どんな道を進みゆこうとしているのだろうか。各国の変貌ぶりを「世界カレンダー」として読み解いていこう。

「世界カレンダー」の編纂は、地球儀をぐるりと回しながら各国の未来図を覗くという極めて難作業となるのだが、出発地は日本にしようと思う。

 遠大な未来絵巻を追いかけるには、自らの足元をいま一度、見つめ直しておくことが大切だと考えるからである。そのほうが、世界全体の理解がより進むはずだ。

 世界における日本の位置づけを一言で説明しようとするならば、やはり「世界第3位の経済大国」というフレーズを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。あるいは、「アジア唯一の主要国(G7)参加国」という言い方もポピュラーかもしれない。だが、「人口」という視点で日本を捉えると、経済大国とか先進国とかとは、少し違う姿が浮かび上がってくる。

 まずは、日本の現在地を確認しておこう。日本は少子高齢化が進み、人口減少社会にあることはいまや小中学生でも知っている常識である。だが、人口減少がどれぐらい進んだかは意外と知られていない。

 総務省の国勢調査の速報値によれば、外国人を含む2020年10月1日現在の総人口は、1億2622万6568人である。国勢調査における日本の総人口のピークは2010年調査の1億2805万7352人なので、この10年間で183万784人減ったことになる。日本人人口に限ると、ピークは2005年調査の約1億2573万人となる。2020年は1億2367万人なので、この15年間で206万人ほど減った計算だ。

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日本人は“絶滅危惧種”?