都内の五輪オフィシャルショップの売り場。開幕直後の7月26日、グッズを買い求める人の姿が絶えなかった(c)朝日新聞社
都内の五輪オフィシャルショップの売り場。開幕直後の7月26日、グッズを買い求める人の姿が絶えなかった(c)朝日新聞社

 東京五輪・パラリンピックの公式グッズを販売する東京2020オフィシャルショップの一部店舗で9日から「感謝セール」が始まった。大会前、グッズの売上げ不振が報じられてもセールはしない姿勢だった組織委が、ここにきて急な方針転換に踏み切った。商品廃棄の現実と向き合うメーカーは対応を歓迎しつつ、「決断が遅過ぎる」との本音も漏れる。

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 大会組織委の6日の発表によると、セールは首都圏のオフィシャルショップ11店舗で行われる。店舗により実施日が異なるが、期間は27日まで。商品が最大30%オフ(一部対象除外商品あり)となる。

 オフィシャルショップは2018年7月にオープンした「新宿西口店」を皮切りに全国に66店舗を展開したが、パラリンピックが閉幕した5日以降、このうち50店超が閉店した。オフィシャルショップとしてセールを行なうのはごく一部に過ぎない。

 閉じた店舗のうち家電量販店の中にあった店では、残った商品について6日から売り場を縮小し、家電量販店の商品として値引き販売しているところもあるが、「売れないものは、どんどんメーカーに返品するため、数日で売り場はなくなる予定」(店舗関係者)という。ホームページではすでに閉店したことになっているため、引き続きグッズを売っていること自体がほとんど知られていないようだ。

 別の店舗関係者は「売れ残って廃棄になるくらいなら安売りした方が絶対にいいよねって声は現場でもあったので、組織委の決断は歓迎します。ただ、どうせやるならオフィシャルショップとして閉店する前に、大々的にセールをやった方がもっと売れたと思います。もったいないですよね」と話す。

メダルラッシュで「品切れ」も

 新型コロナウイルスの感染拡大で五輪開幕ムードは盛り上がらず、大会前はどの店舗も閑古鳥が鳴いた。客足はまばらでグッズは山積み。「数万点の廃棄を覚悟している」「数字が言えないほど売れていない」とこぼすメーカーもあった。

 しかし、五輪が開幕すると様子は一変。日本勢のメダルラッシュに刺激され、店には多くの客が詰め掛け、品切れする商品も出るほどの活況ぶりだった。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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