西川貴教(c)朝日新聞社
西川貴教(c)朝日新聞社

 滋賀県のふるさと観光大使でミュージシャンの西川貴教が三日月大造知事と記者会見を22日に滋賀県庁で行い、草津市の烏丸半島で9月に開催予定だった「イナズマロックフェス2021」を中止すると発表した。県内で新型コロナウイルスが急激に感染拡大を受けている状況で苦渋の決断だった。

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 イナズマロックフェスは2009年からスタート。滋賀県出身の西川が08年にふるさと観光大使に就任した際、「音楽を通じて地元にお返しがしたい」と地方創生と地域振興を掲げて実現したもので、県内で初の大型野外ロックフェス企画だった。夏の恒例イベントとなったロックフェスに県内外から多くの来場客が集まる。11回目の19年は2日間で9万5千人の観客動員数を記録。昨年はコロナ禍で草津市烏丸半島での開催を見合わせ、オンライン配信となった。

 滋賀県公式動画チャンネル「shigakoho」が配信したYouTube動画で、西川と三日月知事の記者会見が見られる。動画内で報道陣から「(イベントを)中止を決断した際に何を一番大切に考えたか」と質問が飛んだ。西川は「県民の皆様が安心して楽しんで頂いたり、このイベントを応援して頂ける気持ちが僕らにとっては一番大事なものなので。その思いに応えるためにはこのような決断も致し方ないと考えております」と語った。

「中止が自然に思えますが、ミュージシャンである西川さんは大きな葛藤があったと思います。イベントが中止になることでチケット収入、スポンサー収入も入ってこなくなり、主催者の西川さんや関係各社は大打撃を受ける。昨年は有観客で開催できなかっただけに、今年は開催したかった気持ちがより強かったと思います。ただ、このコロナ禍では多くの人が会場に集まるリスクがあり、感染爆発を引き起こす恐れがある。県民のことを強く思う西川さんが下した英断だと思います」(テレビ関係者)

 中止が決まったイナズマロックフェスとは対照的に、「FUJI ROCK FESTIVAL ’21」(フジロック)は新潟県湯沢町の苗場スキー場で20日から3日間開催された。場内での飲酒禁止、アルコールの持ち込み禁止、希望者に無料で抗原検査キットの配布などの感染対策を実施したが、駐車場には県外ナンバーの車が会場に大挙して押し寄せ、密集した男女の集団が音楽に合わせて飛び跳ねて楽しんでいる光景が。地元住民から不安の声が高まった。

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