それでも月に100万円近くの金が手元に残ったときは、プロレスをやめてもこれで生活していけばいいかって思ったもんだよ(笑)。でも、4~5年で徐々に経営が厳しくなったけど、13年間も店をやってこられたのは、大会があるとファンの人たちが三々五々集まってきてくれてお金を落としてくれたお陰もある。

 俺も週に3~4回は店に顔を出して、カウンターで酒を飲んだり、お客さんに挨拶したり。ファンが来てくれた時はアイスペールにいろいろな酒を混ぜた“天龍カクテル”でもてなして、ベロベロに酔ってお帰りいただいたりね(笑)。俺が店で飲んでいるのを見て、俺が店のオヤジだって知らない人は「なんでレスラーがでかい顔してカウンターで飲んでるんだ」って思ったんじゃないかな。俺のことをまったく知らない人だとなおさら“ややこしい人”がいると思うよね。

 店の経営者として、お客さんのクレームやトラブルがあると対応しなきゃいけないけど、俺が話に入ってくると、知らない人は“ややこしい人”が出てきたと思うらしい。トラブル対応した後日「お前のところは、寿司屋のくせに“プロのややこしい奴”を使いやがって!」と抗議の電話がかかってきたこともあったよ(笑)。

 土地柄、芸能人も多く住んでいて、俺の店だと知らずに来てくれる人も多かった。里見浩太朗さん夫妻、元プロ野球選手の山本浩二さん夫妻、サッカーの北澤豪さん、杉本彩さん、少年隊の東山紀之さん、それから当時は大人気だった押尾学君もうちでよく宴会を開いてくれたりしていたよ。

 漫画家のやくみつるさんもちょこちょこ来てくれたけど、俺はあんな風刺漫画を書いている人だから、面白い性格の人だと思ってからかったりしたんだ。でもやくさんは意外と真面目な人で、お酒もあまり飲まないもんだから最初は戸惑ったよ。まあ、最終的には無理やり飲ませてベロベロにして、後で文句も言われけど、うちの店はそういう被害者が多いからね(笑)。

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北の富士さんは着流しで来店「カッコいい!」