決勝トーナメントに進出したなでしこジャパンの岩渕真奈 (c)朝日新聞社
決勝トーナメントに進出したなでしこジャパンの岩渕真奈 (c)朝日新聞社

 台風8号の接近に悪天候が予想されていた宮城スタジアムだが、キックオフの時点では、空も持ちこたえてくれ、ピッチも心配したような悪路にはならなかった。そして、チリが自らのグループリーグ突破の可能性にかけて、序盤から打ち合いに出てくれた。そのおかげで、日本はリズムよくプレーができた。68分のララのヘディングシュートには肝を冷やしたが、これもバーの下を叩いたボールが、ライン上でこらえてくれた。

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 そして、チャンスを山のように築きながら、チリの闘志と、名手クリスチャン・エンドラーの攻守に阻まれてきたゴールを、岩渕真奈と田中美南の連携で、ついに攻略。1対0の勝利を飾り、グループリーグ3戦を1勝1敗1分けの勝ち点4で終了。他グループ3位との成績比較で上位の2チームに入り、ノックアウトラウンドへ歩を進めた。

 開幕から、うまくいかない時間を長く過ごしてきた、なでしこジャパンだが、どうやら、まだツキは残っていたようだ。

 さて、グループリーグで、ここまで苦戦することになった原因は、ふたつ。

 まず、初戦の早すぎる失点だ。林立する日本のディフェンダーの間に、ここしかないタイミングで侵入し、ゴールしたカナダの大ベテラン、クリスティン・シンクレアの技術は称えられてしかるべき。ただ、国際試合300試合出場を達成したカナダのレジェンドは、10年以上前からマークすべき相手であり続けている。その選手に、絶対に勝ち点奪取が必要な試合で、注意すべき序盤、人数も足りている状況でゴールを許したのはいただけない。

 そして、このビハインドを追いつくために、足を使わされた。

 現在のなでしこジャパンは、ボールをキープしながらゲームをコントロール。そして、前半をしっかりと耐えて乗り切り、相手の足が止まってくるタイミングで勝負する。それがチームのコンセプト。

 このカナダ戦では、逆にボールをキープされ、人数をかけてこれを追っても、なかなか奪えず。奔命に疲れることとなった。

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