そういう意味で期待がかかるのが6年目の左腕、高橋奎二である。今年1月にはタレントの板野友美さんとの結婚が話題となったが、開幕後はなかなか一軍での登板機会がなかった。ところが6月13日のソフトバンク戦(PayPayドーム)でおよそ1年ぶりの勝利を挙げると、この試合も含め4度の先発で2勝0敗、防御率2.66。うち3試合がQSだった。

 もちろん、リーグ2位の救援防御率3.30を誇るブルペンの働きも忘れることはできない。楽天から移籍1年目にして22試合に登板し、防御率0.96と抜群の成績を残していた近藤弘樹が右肩の肉離れで離脱し、守護神の石山泰稚が不調のために二軍落ちするという不測の事態がありながらも、巧みなやりくりでチーム全体ではいずれもリーグトップの27セーブ、82ホールドを挙げているのは、さすがというほかない。

 ただし、前半戦終盤は救援陣が打たれて追いつかれ、落とす試合も目に付くようになった。高津監督も「特にリリーフはちょっと疲れが出てきてるのかなっていう感じもします」と語っていたが、例年なら後半に向け、その影響が懸念されるところだろう。だが、今年は東京五輪開催による中断期間が1カ月近くある。その間、いかに疲れを癒し、コンディションを整えていくかも、後半戦に向けてのカギを握ることになりそうだ。

 そしてもう1つ、高津監督が後半戦に向けての課題として挙げているのが、上位を行く巨人阪神との戦いである。

「(前半戦は)上位のタイガースとジャイアンツには分が悪くて、何とか3位に食らいついてる状況で、他(下位)の3チームから貯金をしてるような感じなのでね。ぜひ後半は上位にも食らいついて、ほかの3チームともしっかり戦えるように整えていきたいなと思います」

 前半戦は巨人に対して最後の2連戦に連勝したものの、対戦成績は4勝7敗1引き分け。阪神には開幕戦から6連敗を喫するなど、3勝10敗2引き分けと大きく負け越している。4位以下の3チームからは合わせて18の貯金を荒稼ぎしているが(他に交流戦で貯金2)、巨人と13試合、阪神とも10試合残っている直接対決でどれだけ勝ち越せるかが、後半戦の行方を左右しそうだ。

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五輪中断中の過ごし方もカギに?