■ブカヨ・サカ(イングランド)

開幕2試合で勝ち点4を稼ぎながら、イングランドには“いつも通り”の閉塞感が漂っていた。世界トップクラスのタレントを豊富に抱えながら、攻撃のバリエーションもテンポもなく、当然のように批判の声が強まった。そんな空気を一変させたのが、第3戦で初出場を飾ったサカだ。わずか19歳で名門アーセナルのシーズンMVPに輝いた彼は、初出場の大舞台でも躍動。チェコ戦で最多4度のドリブルを成功させ、スター・オブ・ザ・マッチを獲得(ちなみに代表デビューから5試合で3度目のMVP)。イングランドに新しい風を吹かせると、宿敵ドイツ戦でも巧みなポジショニングで攻撃に彩りを加えている。またピッチ外でも、練習後のプールでのクールダウン中に撮られたあどけなさ全開の姿がSNSで大反響を呼んでおり、すっかり国民の「愛されキャラ」となった。市場価格6500万ユーロ(transfermarkt)を超える彼は、来季もアーセナルの7番を背負って戦うことが濃厚。すでに多彩な才能を発揮するサカだが、新シーズンはどんな成長を見せてくれるのだろうか。

■レオナルド・スピナッツォーラ(イタリア)

セリエA好きの方にはおなじみの名前かもしれないが、初の国際主要大会で大ブレーク。チームとして最高の完成度を誇る“アッズリーリ”の中で、ロレンツォ・インシーニェと共に左サイドを支配。攻撃時にはウイングとして常に前を向いてしかけ続け、相手DFの脅威になり続けた。DFながら出場4試合のドリブル数(17)は全体6位タイ。トップスピード(33.8km/h)はトップタイだ。2アシストを記録し、延長戦にもつれ込む激闘となったオーストリア戦を含め、2度もスター・オブ・ザ・マッチに輝いている。しかし、非常に残念ながらベルギー戦でアキレス腱断裂の重傷。最低でも4カ月以上の長期離脱を強いられることになってしまった。キャリア最高の時期での大怪我は本人が一番悔しいだろうが、チームを去る際に見せた仲間の健闘を称える姿が感動を呼んでいる。おそらくピッチで再びその姿を見られるのは来年になるだろうが、ジョゼ・モウリーニョと共に首を長くして待とう。

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