コロナ前の巨人の応援席の様子=2019年10月20日撮影 (c)朝日新聞社
コロナ前の巨人の応援席の様子=2019年10月20日撮影 (c)朝日新聞社

 新型コロナウイルスの影響で、プロ野球私設応援団は、充分な活動ができない状態が続いている。

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 昨年から飛沫感染のリスクがあるため、トランペットなどの鳴り物を使った応援は、すべて禁止となった。大声も禁止で、応援歌も歌うことはできない。さらに、肩組み、ハイタッチ、握手、タオルを振りまわすなどの行為も、接触観戦のリスクがあるため、同じく禁止だ。

 こうした現状の中、少しでも選手を盛り上げようと「試行錯誤している」と話すのは、読売ジャイアンツ応援団で副団長を務める吉田隆さん(50)だ。応援団歴10年の吉田さんは、普段は会社員をしながら、応援団ではトランペットを担当。コロナ前までは年間100試合以上応援活動をするなど、ファンの間でも顔を知られた存在だ。

「現在、私設応援団は、緊急事態宣言対象地域での応援活動は認められていません。応援活動ができる地域では太鼓を使うことができたり、一部では旗を掲げたりする応援団もいます。また、応援団としての活動とは少し異なりますが、球場演出のサポート役として、事前に収録された選手応援歌を流すことも許されています。特殊な例ですが、球場から離れた別会場に応援団が集まり、そこで実際に応援活動をし、その"音"をリアルタイムで球場に流す『リモート応援』のようなスタイルをとっている応援団もいます。各応援団、許されている範囲内で、なんとか盛り上げようと試行錯誤している状態です」

 活動そのものがほとんどできていない応援団にとって、モチベーションを維持するのも一苦労だ。

「正直、応援団員のモチベーションは、下がる一方です。団員の中には、ストレスがたまり『早く球場で活動がしたい!』と嘆いている人もいます。もちろん、コロナ禍なので、自粛しなければいけないのは理解しているんですが、応援団として球場で活動できないというのは、かなり辛いです」(吉田さん)

 そんなモヤモヤを抱える一方で、「野球観戦は静かに見る」というメジャースタイルが定着しつつもある。SNSなどでは「私設応援団不要論」のような声も目立つようになった。

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