日本代表でも活躍する伊東純也 (c)朝日新聞社
日本代表でも活躍する伊東純也 (c)朝日新聞社

 2020-2021シーズンの欧州各国リーグが終わった。今季も数多くの日本人選手がヨーロッパでプレーしたが、素晴らしいパフォーマンスを見せ、市場価値を大きく上げた選手もいる。その中で、今夏の移籍市場で大きなステップアップを果たしそうな選手をピックアップし、その現状を紹介する。

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■冨安健洋(ボローニャ)

今季の欧州サッカー界における日本人選手を語る上で、この選手を欠かすことはできない。セリエA2020-21シーズンで最も価値を高めた選手の1人であり、今や世界屈指の若手センターバックとの評価を絶対的なものとした。移籍専門サイト『transfermarkt』が試算する市場価値は1800万ユーロ。堂々の日本人選手トップである。

決して楽なシーズンではなかっただろう。日本代表活動による長距離移動を強いられ、負傷離脱も経験した(後にボローニャ指揮官シニシャ・ミハイロヴィッチは代表活動中のケガに激高している)。また本人が「窮屈さはどこにいてもあります」と語ったように、高い適応能力と戦術理解度ゆえにDFラインの全ポジションを託され、試合中にもポジション変更を余儀なくされるなど、難しい役割を背負わされていたことは間違いない。だからこそ、本人は「良いシーズンではなかった」と感じたのだろう。

しかし、スタッツやパフォーマンスを見れば間違いなく「良いシーズンだった」と言える。第23節の終了時点での全試合フル出場は、セリエAでも冨安だけだった(フィールドプレイヤーに限り)。283回のボールリカバーもリーグ6位だ。22歳にしてクリスティアーノ・ロナウドやロメル・ルカクら世界のトップとの対戦も経験し、そのマッチアップはイタリアでも大きく取り上げられた。シーズン通して絶賛を浴び続け、今は彼の「この先」に大きな注目が集まっている。

現時点で移籍先として最も多く噂されているのは、今季3位で終えたアタランタ。知将ジャン・ピエロ・ガスペリーニの下で躍進し、3年連続チャンピオンズリーグ出場権を獲得。すっかり強豪クラブの一員だ。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』などは、ガスペリーニ監督が冨安を高く評価しており、今夏のNo.1ターゲットとも報じている。「ゾーン型マンツーマン」とも形容される特殊で激しい守備戦術を採用するクラブだが、冨安はそれに適応できる身体も、頭も、心も持ち合わせている。また最終ラインの選手でも敵陣ボックス内まで突入する迫力ある攻撃は、攻守に才能を発揮する彼のスタイルにぴったりとハマるだろう。東京オリンピック参加が予定されているため、去就は移籍市場終盤まで決まらない可能性もある。本人が決断下すまでは、日本を代表する選手の去就について妄想を膨らませながら楽しむとしよう。

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伊東純也は5大リーグへ?