■板倉滉(フローニンゲン→マンチェスター・シティ)

東京オリンピック世代の日本代表が、オランダで快挙を達成した。フローニンゲンへのレンタル3シーズン目、センターバックを主戦場に絶対的な存在となり、エールディビジの全試合にフル出場。リーグ全体では2人のみ、クラブ史上でも21世紀に入って3人目という大記録となった。こちらも当然のように、クラブの年間MVPを受賞。飛躍の1年を過ごした。

オランダメディアでもそのパフォーマンスは「1つ上のレベルに達した」と絶賛が相次ぎ、特にその「サッカーのうまさ」とスピードは高く評価されている。欧州全体でみればフィジカル面で決して優れているわけではないが、試合や展開の読みとボール奪取を可能にするスピードが躍進につながったことは間違いない。

今シーズン終了と共に、一度所属元マンチェスター・シティへ復帰することになる板倉。しかしエールディビジで躍進したとはいえ、プレミアリーグチャンピオンでスタメンを勝ち取るのは至難の業だ。契約が2022年までということもあり、来季も別のクラブでプレーすることは濃厚だろう。フローニンゲン側は再レンタルを目指すようだが、ダニー・バイス監督は「残留は不可能だ。良い移籍をすると思う」と半ばあきらめのコメントを残していた。

現地オランダの報道によると、ブンデスリーガ数クラブが24歳DFを追っているという。過去も現在も数多くの日本人選手が活躍し、(一部例外を除き)リーグ全体の差がそこまで広くないことを考えれば、本人にとっても良い選択肢になると言える。はたまたプレミアリーグのブライトンなど、革新的なスタイルを目指すチームもフィットするのではないだろうか(今季の活躍でワークパミットの問題も解消できるかもしれない)。今夏のオリンピックを経て、さらなる高みを目指す24歳に期待したい。

(文・三上凌平)