レイコさんは、自分は頭がよく、まわりはバカ、というスタンスで話し続ける。彼女には婚歴はない。容姿に恵まれて、英語が話せて外資系企業で高給を得ていて、しかし45歳美形の女性がシングルでいる理由がわかった。彼女との2時間半の食事代は、シャンパンやワインと合わせて5万円を超えた。勉強代と思うしかないだろう。

 こういう体験をネット記事で書くと、必ずこんなコメントが寄せられたものだ。

「金銭感覚が合わない相手はそもそも対象にしないほうがいいです」

「ワリカンでも安い店でもいい、というような人じゃないと、結局は長続きしませんよ」

 きっと正論なのだろう。でも、婚活で次の一歩を踏み出すには、その正論は通用しないんじゃないか、とも思う。そして、本当に切実に「次の一歩」を考えているのであれば、あまり正論に振り回されないほうがいいのでは、とも。

 婚活をしている女性側の本音を聞いたことがある。実は婚活の最中、何度か知り合いと遭遇したことがあった。クライアント企業に勤める知人、シノハラさん(仮名)が、同じ結婚相談所に登録していたのだ。

 ある時、その企業でシノハラさんに声をかけられた。向こうも僕の存在に気づいていたのだ。互いの婚活状況を話していると、彼女は厳しい表情で、「頭にくることばかり」と語っていた。

 彼女が頭に来るのは「金銭的にケチな男が多い」ことだった。

 登録していたB社では、最初のお見合いは、男性が全額負担するルールになっている。ただし、お茶のみ。食事やアルコールをオーダーしてはいけない。男女とも相手を気に入り、最長3か月間の仮交際期に入ってからは、性的な関係にならなければ、デートも飲食も本人たちの自由だ。彼女によると2度目以降ワリカンを求める男が多いらしい。

「均等割りですか?」

 一応確認してみる。

「そうです。1円単位まで割ろうとする人もいました。どう思いますか?」

「まずは女性に好かれないといけないので、僕は割り勘にはしていません」

「でしょ!」

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ファミレスで屈辱を味わった女性の言い分