土俵入りする朝乃山(c)朝日新聞社
土俵入りする朝乃山(c)朝日新聞社

 大関・朝乃山が夏場所12日目の20日に休場することを発表した。朝乃山は、夏場所前に深夜営業の都内のキャバクラに通うなど、日本相撲協会が定める感染対策ルールを複数回違反していたことを「週刊文春」が報道。日本相撲協会の聴取に対し、「事実無根」と当初は否定したが、19日に再び行われた聴取で、一部報道について認めたという。11日目の土俵で7勝目を挙げて勝ち越しに王手をかけていたが、休場となった。

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 朝乃山は右四つの型から相手に圧力をかける前に出る相撲で、「横綱に最も近い逸材」と期待されていた。西前頭8枚目の19年5月には混戦を制して自身初の幕内優勝。令和初の幕内優勝者となり、来日していた当時の米国・トランプ大統領から「アメリカ合衆国大統領杯」を授与されて話題になった。その後もメキメキと力をつけ、20年3月場所で11勝を挙げて大関に昇進した。

 ただ大関になってからは終盤で勝ち切れず優勝争いから脱落するケースが目立つように。あっさり負ける土俵に物足りなさを感じた。そして、今回の「キャバクラ通い」で休場に追い込まれる事態に。スポーツ紙の相撲担当はこう分析する。

「いわゆる勝負強いタイプではない。まだまだ相撲に甘さがあり、ハングリー精神に欠けている部分は指摘されていました。ヤンチャなタイプでなく、物腰の柔らかい優等生タイプ。夜遊びが激しいタイプではなかったのに、大関に昇進して人が集まってくるようになり勘違いしてしまったのかもしれない」

 今回の騒動で朝乃山に厳罰が下ることは間違いないだろう。元関脇の幕下・阿炎は昨年7月場所中に接待を伴う「夜の店」に通っていたことが発覚。店に通った回数を過少申告したことも反省が足りないと判断され、「出場停止3場所」、「5か月50%減給」の処分が下された。朝乃山は虚偽報告で心証を悪くしており、加重処分が下ることが十分に考えられる。

 テレビの相撲担当番記者は「出場停止3場所じゃ済まされないでしょう。年内いっぱいの出場停止で幕下陥落の処分が下されるかもしれない。阿炎は3場所連続出場停止の処分後に幕下で白星を重ねて十両復帰に王手をかけているが、まだまだ幕内復帰への道は険しい。朝乃山が幕下からやり直せるかと言ったら疑問符が付きます。気力が残っているか心配ですね。27歳とこれから脂が乗り切る年で、将来が楽しみな力士なので引退してほしくないですが…」と表情を曇らせる。

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