SNS上でも政府の対応に疑問の声が目立つ。

「自衛隊関係者です。1日一万人として、8時から20時まで13時間運営。割り算すると、1時間あたり770人の接種が必要。おじいちゃんおばあちゃんで頑張って1人接種を5分で終わらせるとして、接種場所1ヶ所で1時間に12人に接種するのが限界。770÷12=64、つまり計算上64ヶ所の接種場所が必要です。自衛隊が以前大阪に医療スタッフを派遣した際は頑張って40人でした。問診や看護助手、交代要員も必要ですから自衛隊が64箇所の接種場所を何とかセンターに設置して運営するのは絶対に不可能です」

「あまりに無責任ではないでしょうか。自衛隊は全力で努力するでしょうが、無謀な目標を丸投げされたことには怒りとなさけなさを感じます」、

「自衛隊の医官と看護官はそれぞれ約千人とされ、東京で1日1万人、大阪で1日5千人にワクチン接種するだけの人員を派遣できるとは思えない。最初に大層な接種目標を掲げておきながら今頃になって『自衛隊次第』とトーンダウンするのは如何なものか」

 前出の自衛隊OBはこう語気を強めた。

「自衛隊は有事に国を、人命を救うのが仕事だと自負しています。昨年の2月にコロナ感染が集団発生した大型クルーズ船『ダイヤモンドプリンセス号』で約2700人の自衛隊員が動員されて医療支援を行ないました。ただ今回のワクチン接種が自衛隊の任務と言われることには疑問を感じます。もし、大規模接種センターでの接種がうまく機能しなかった時に自衛隊に責任を押し付けるのはやめてもらいたい」

 1日1万人の接種が果たして現実的な数字なのか、多くの高齢者が大規模接種センターを訪れることで密状態にならないかなど懸案事項は多い。

「1都3県だけでも900万人の高齢者がおり、1日1万人も大挙して電車で大手町の合同庁舎に連日、駆け付けたら、クラスターの発生リスクもあります。自治体から受け取った接種券を会場に持参すれば、いつでも接種できるようにするとを言っているが、見込み数を把握しないでどうやってワクチンを準備するのかすら検討されていません。打つ人がわずかしか来なかったら大量の廃棄が生じてしまうし、逆に希望者が殺到したらどうするのか」(政府関係者)

 世論が政治家に強い不信感を抱いているのは責任の所在が明らかになっていないことも大きい。ワクチン接種で自衛隊がスケープゴートになることを国民は望んでいない。(梅宮昌宗)