16日のエンゼルス戦後、ツインズの主力3選手が新型コロナウイルス関連で負傷者リストに入り、残りの選手も滞在先ホテルで2日間の隔離を余儀なくされてしまった。そしてこの事をきっかけに、チームの歯車は狂い始めた。隔離が明けた後もチームの状況は好転しなかったのだ。アナハイムからオークランドに移動した選手たちは調整に苦しんだ。隔離中、選手たちは球場への立ち入りが制限された。ホテル前でキャッチボールをしていたという投手や、部屋の中ではマットレスに投げ込んでいた選手がいたというが、やはり全く練習にはならなかったようだ。そして、「前田を含めチームのルーティーンは崩壊した」とライアン記者は述べる。

 チームはダブルヘッダーで行われたレッドソックス戦後、前田に対し十分な休養を与えるため、カリフォルニアへの遠征前にローテーションを変えていた。しかし、前述のコロナ関連による延期により、十分な調整が出来ないままアスレチックス戦を迎えることになってしまい、それが21日の投球結果につながったのではないだろうか。

 また、『MLB.com』は「前田の不調の原因には気温が関係しているのではないか」と分析する。ライアン記者もこの意見には同意している様だ。「明らかに(気温の)影響を受けてるようにみえます。前田投手はキャンプ中のナイターでも長袖が必要だったと語っていました」と証言。ツインズの本拠地であるミネソタ州は、キャンプが行われていたフロリダ州よりも格段に寒い地域である。4月でも最高気温は4度前後で、時には降雪もある。こうした気温は選手のパフォーマンスに大きく影響する。「寒さによって筋肉は縮こまり、握りも難しくなります。そしてコントロールは乱れ、狙いから大きく外れることもよくあります」とライアン記者。実際、前田はレッドソックス戦の後「このような気温の中で投げた経験はあまりなかったです」と寒さに触れ「ボールをしっかりと握ることが出来ず、そのまま投げてしまった」とも語っている。ツインズ移籍前は温暖な気候のロサンゼルスを本拠地とするドジャースで過ごしてきた前田にとって初めて体験する気候に強い影響を受けていることは明らかだろう。

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