高齢者へ2回のワクチン接種は、国が7月末までと見通しを示している。しかし、ワクチンは世界的に不足しており、日本に十分な供給がなされるか不透明。本当に7月末で接種が完了するか、仮定でしかない。

「国がワクチン接種の見通しを伸ばす度に、冨田氏も市長の辞職を先延ばしできる。自分ではなく、国の責任で辞任しないと言い張れる。実に巧妙な延命策。その間、冨田氏には給料が支払われますからね。冨田氏の月給の額面は98万円ですが30%削減を公約としており、実際には月に70万円前後。仮に8月までワクチン接種がずれ込めば、4ヵ月間で280万円。高齢者のワクチン接種など、コロナ対策の仕事をすると冨田氏は言うが、辞めることがわかってる市長についていく市職員は、ほとんどいません。辞職と言いながら、すぐにやめたくないのはお金の事情もあるのではないか」(池田市の幹部職員)

 4月25日は3つの国政選挙と名古屋市長選挙が実施されたが、選挙をすることでワクチン接種ができず、高齢者が危険に晒されたという話は聞いたことがない。

 早期の市長辞職、市議会を解散巡って、政党、池田市議会も動き出した。百条委員会で冨田氏に反旗を翻し、秘密保持契約書にサインを強要された話を涙しながら証言した池田市職員に市長選、市議選出馬の「待望論」もあり、冨田包囲網が着々と進んでいる。池田市民からは「冨田氏はもういらん。サウナ市長、恥ずかしい」など批判が多かった。

 冨田氏は日本維新の会の足立康史衆院議員の秘書で、池田市長選で勝利した時も、大阪維新の会から出馬している。だが、冨田氏の辞職表明を受けて、大阪維新の会代表でもある大阪府の吉村洋文知事はこう切り捨てた。

「すでに離党しているが、大阪維新の会公認で我々は応援した。また(池田市の)百条委員会でも問題と指摘された。公私混同で辞職するという本人の判断を尊重したい。(大阪維新の会が)公認した責任はあります。そして池田市民の皆様に深くお詫び申し上げたい」

 立つ鳥跡を濁さず、となることを祈るばかりだ。(今西憲之)