マッチングアプリを悪用した中国人女性による投資詐欺で被害が続出(GettyImages)
マッチングアプリを悪用した中国人女性による投資詐欺で被害が続出(GettyImages)

 新型コロナウイルス感染防止の観点から対面で食事する回数が減り、出会いの場も少なくなっている。その中でオンラインによってやり取りができる出会い系サイトやマッチングアプリの需要が高まっているという。

 だが、純粋な出会いの目的で利用している人ばかりではない。中国人の20代女性を名乗り、男性の「恋心」を利用した巧妙な投資詐欺被害がここ数年で大幅に増えているのだ。

 独立行政国民生活センターによると、国民生活センター越境消費者センター(CCJ)に寄せられた出会い系サイトやマッチングアプリ等に関する年度別相談件数は、18年の12件から昨年は58件とわずか2年で5倍近く増加。この58件のうち、投資等に関する相談件数が40件と7割近くを占めた。

 都内で会社を経営する男性(45)も中国人女性を名乗る人物から投資被害に遭った男性の1人だ。

「被害総額は3150万円です。お恥ずかしいですが、騙されている感覚が全くなかった。会社の金には手を付けていないですが、個人預金に入れていた貯金はすべてなくなり、消費者金融から借り入れをしたため、返済に追われる日々です。警察に被害届を出して、弁護士にも相談したら、『最近、海外セレブを名乗る女性から投資詐欺で被害に遭うケースが多いんですよ。1億5000万円を取られた男性もいました』と話していました。もう怒りしかないですね…」

 男性が20代の中国人女性と知り合ったのは昨年6月。マッチングアプリで写真を見て「いいね」を押したところ、連絡が来た。北京在住で証券会社に働いているという。連絡先を交換すると、女性は自身のSNSで購入した外車や豪邸に住んでいる写真を投稿していた。

「金銭感覚が違うかなと思いました。年齢も離れていたし、中国に住んでいるので付き合っても遠距離恋愛になる。現実的ではないかなと。でも何度も『あなたに興味がある。会ってみたい』と言われて。若い女性にそう言われた経験がないので嬉しかったですね。お互いの趣味や仕事の話をして…一度も会っていないのにやり取りが楽しくて自然と惹かれていました」

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違う目的でマッチングアプリを使う