一方で今のところ大きな影響を受けていないのが阪神ソフトバンクの2球団だ。阪神はロッテから移籍したチェンも含めて、昨年日本でプレーしていた6人の選手は既に来日している。チェンは不安定な投球が続いているものの抑えのスアレスは安定しており、野手も2年目のサンズ、3年目のマルテの2人が揃ってオープン戦で好成績を残している。

 打線のテコ入れとして期待される新戦力のロハス・ジュニアは来日の目途が立っていないが、ルーキーの佐藤輝明がその不在を忘れさせるだけのインパクトを残しているのも好材料だ。佐藤が相手チームに研究されて調子を落とした頃にロハス・ジュニアが一軍合流するくらいのスパンで考えられるのは大きいだろう。

 ソフトバンクも新加入のレイとマルティネスの両投手は来日が遅れているが、この2人がいなくても十分に補えるだけの投手陣の厚さを感じる。野手もグラシアル、デスパイネは既に来日しており、それほど大きく出遅れる心配はなさそうだ。ただ一方で気がかりなのが東京五輪の予選でキューバ勢のモイネロ、グラシアル、デスパイネの3人がシーズン途中で抜ける可能性があるという点だ。この3人が抜けるタイミングまでに、他の外国人選手がしっかりコンディションを上げられるかというのがポイントとなりそうだ。

 昨年はキャンプで順調な仕上がりを見せていたジョーンズ(オリックス)が、開幕が延期になったことで体重が増えて明らかに動きが悪くなったということもあったが、今年はそれ以上に外国人選手の動向に悩まされる球団が多くなることは間違いない。先日は巨人ヤクルトの間でトレードもあったが、シーズン開幕後にも例年以上に緊急補強をする球団が出てくることも考えられるだろう。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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