既に来日して安定した投球を見せている阪神の守護神スアレス(代表撮影)
既に来日して安定した投球を見せている阪神の守護神スアレス(代表撮影)

 いよいよ開幕直前となった今年のプロ野球。各チームの調整も最終段階となっているが、例年とは大きく異なる事態が発生している。コロナ禍の影響で、いまだにチームに合流できていない外国人選手が続出しているのだ。

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 まず最も深刻な事態となっているのがDeNAだ。支配下の5人、育成の5人、合わせて10人の外国人選手と契約しているが、その全員の来日が未定となっている。三原一晃球団代表のコメントによると、現地でのビザ取得の目途が立っていない状況とのことだが、仮に今すぐその問題が解消して来日できたとしても2週間の隔離と調整を考えると、スムーズに行っても5月からの一軍合流というスケジュールになりそうだ。

 投手では中継ぎの中心であるエスコバーと先発候補の一角であるピープルズ、野手では中軸として期待されるソト、オースティンを欠いた状態で少なくとも1カ月以上は戦う必要がある。チームは急遽、昨年巨人を自由契約となった宮国椋丞を育成選手として獲得したが、それだけでは当然穴を埋めることは難しい。今永昇太、東克樹とローテーション投手2人を故障で欠き、リリーフ陣も抑えの三嶋一輝以外はかなり流動的な状況となっている。場合によっては緊急トレードなどで更なる補強に動く必要も出てくるだろう。

 パ・リーグでは西武日本ハムの2球団も厳しい状況だ。西武はリリーフのギャレットのみチームに合流しているが、新外国人投手のダーモディ、先発の一角であるニール、野手のスパンジェンバーグ、メヒアと4人が来日できていない。

 長年の課題でもある先発投手陣はエースの高橋光成とリリーフから転向した平井克典がオープン戦で好投を続けているが、それ以降はかなり不透明な状況だ。野手も若林楽人とブランドンのルーキー2人を積極的に起用しているが、全体的に層の薄さは否めない。中軸にかかるプレッシャーと相手チームからのマークは昨年以上に厳しいものとなりそうだ。

 日本ハムも現時点で来日しているのは王柏融だけ。その王もここまでのオープン戦では不振が続いており、今年で3年契約の最終年ということを考えるとシーズン序盤に見切る可能性も出てくる。投手陣もエースの有原航平(レンジャーズ)がメジャーへ移籍しただけに、実績のあるバーヘイゲン、B.ロドリゲスの不在は大きな痛手である。投手、野手ともに何とか若手を引き上げながらやりくりしていく必要があるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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