かくして根は深い。女性たちはこうやって分断され続けてきたのだ。今、「わきまえていてごめんなさい」と反省するキャリア女性の背後には、その反省すら茶番に感じてしまうほどに傷ついたさらに幾万もの怒りがある。

 丸川珠代大臣の大笑い。見てはいけないものを見てしまうような思いになった。反省する先輩たちに向ける冷ややかな視線は、ああいう女の笑いに晒されてきた者の怒りなのだと思う。

 3月3日の参議院予算委員会で、福島瑞穂議員の質問に答え丸川大臣は答弁の最初にこう切り出した。

「まず、3月8日国際女性の日にちなみまして、一後輩として、福島先生がこれまで男女格差の解消、または共同参画の推進に取り組んでくださったことに心から敬意と感謝を表したいと思います」

 その後の、7回続けての不誠実な答弁拒否と極めつきの大笑いだ。丸川氏のHPのプロフィールには、「良くも悪くも正直者で素直。そそっかしい面も」とあるのでご自身への客観性はあるのだと思うが、福島氏の質問を“はぁ? 何言ってんの?”とでも言うように大げさに笑うことで無化するような汚技(造語です。男に媚びるために女を裏切るアレです)を使うあたり、福島氏への敬意など本当に表面的なものだったことがわかる。

 国会中継を見ていると、シンプルに傷つくことがある。特に安倍首相時代に顕著だったと思うが、福島瑞穂氏や辻元清美氏など野党で目立つキャリアの長い女性議員の質問に対し、せせら笑うように半笑いで答えるような空気ができあがっているからだ。それは、この国の多くの女性が、そしてもちろん私自身が、さまざまな場面でやられてきたことでもある。真面目に聞いているのに、まともに答えない。真面目に怒っているのに、まともに目を見ない。さらにつらいのは、男性と並び女性を嘲笑し、ばかにしたような目で女性を排除する女性たちの楽しげな姿を見てしまった時だ。ああ、性差別の根は深く複雑。こんな悲しい同性の姿を見なければいけないことも含めて、差別は残酷。

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「ごめんない」は正直どうでもいい