「相手投手の左右で会沢、坂倉を選択することができる。会沢は首の故障などがあるが、無理をさせないで起用できるのが大きい。2人とも打撃が良いので、代打や交流戦でのDH起用もできる。また磯村は打てるし捕手としても良い。大きな話題とともに入団して来た中村は、打撃で飛び抜けないと試合に出られない」

 現在のNPBにおいて、『打てて守れる』両方を併せ持った捕手として高い評価を得ているのが阪神・梅野隆太郎(昨年は打率.262、7本塁打、29打点の成績)。今年中の国内FA権取得も濃厚な状況。動向次第では来年以降、球界の勢力図も大きく変わるとまでいう。

「梅野は捕手として守備レベルも高い(守備率.996)。ワンバウンドなどに対して良い動きをするし、肩の強さもある。そして何より勝負強い打撃が持ち味なので、現状の捕手の流れでは最高クラスに評価できる。仮にFA宣言したら、セ、パ問わずに多くの球団が欲しがるはず」

「捕手がしっかりしないとチームの守備力は上がらない。根本は同じだが順番が逆になっただけということ。重要なポジションに間違いない」

 打って一軍の試合に出場することがまずは最低条件。そこから捕手としてのスキルを磨き上げて行くというのが、昨今のNPBのトレンドと言えるかもしれない。

『4番・投手』は中心選手の代名詞であり、アマでは今も変わらない認識だが、プロではそれは不可能。しかし『4番・捕手』がプロ野球界の主流になる可能性は秘めている。捕手に対して地味というイメージはもはや皆無。今季もシーズン開幕まで約1カ月、各チームのレギュラー捕手争いが楽しみになってきた。(文・山岡則夫)

●プロフィール
山岡則夫/1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌『Ballpark Time!』を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、編集・製作するほか、多くの雑誌、書籍、ホームページ等に寄稿している。Ballpark Time!公式ページ、facebook(Ballpark Time)に取材日記を不定期更新中。現在の肩書きはスポーツスペクテイター。