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 離婚した後も父母の双方が子の親権を持つ「共同親権」制度は、日本でも認められるのか。
 
 2月10日、上川陽子法相は親が離婚した子の養育等に関する法制度の見直しを法制審議会に諮問した。議論の焦点の一つが、この共同親権導入の是非だ。父母のどちらかしか親権を持てない現行の「単独親権」制度は、離れて暮らす親(別居親)と子の交流を妨げ、親子の断絶を生むとして、これまで別居親が中心となり導入を求めてきた。しかし今、子どもと同居するシングルマザーからも、共同親権や、父母が子育てに関わり続ける「共同養育」を望む声が出てきている。共同養育や共同親権が子どもや別居親にとってばかりでなく、シングルマザーにとってもプラスが多いとする、その声とは。

「とにかく元夫に娘を会わせたくない、という気持ちが強かった」

 面会交流や共同養育をサポートするNPO法人を運営する築城由佳さん(大阪府在住、40代)は、離婚調停を行っていた7年前のことを振り返る。

 弁護士に促され、支援を受けながら月1回元夫と当時1歳の娘との面会交流を行っていた。しかし「連れ去られたり悪口を吹き込まれたりしたらどうしよう」と思い悩み、「面会交流に行くまでの間、吐き気やめまいがひどかった」と話す。元夫を父親として認めたくない気持ちも強く、「娘に彼の血が流れているというのも嫌で、その事実を消そうとさえしていました」。

 母の思いを察してか、2歳になった娘は元夫と会う際「楽しくない、行きたくない」と泣き、その姿に「行きたくないのに行かされてかわいそう」と胸を痛めた。そんな状態が3年続いた後、大きな転機が訪れた。法人所属の社会保険労務士として仕事と育児に追われるなか、シングルマザーに密着するテレビの取材を受ける。その放送で見た、疲弊した自分の姿にショックを受けたのだ。

「すごくしんどそうで、笑顔がない。これは本来の自分ではないと。会社に『すみません』と言いながら仕事を残して定時で帰って、なんでこんなに謝っているんだろうって……」

 やがてシングルマザーを支援する社会保険労務士として独立する、という夢を持つようになり、そのことが築城さんを大きく変えた。

 夢の実現に向け自分の気持ちに向き合うなか、元夫への憎しみが心の大きな重しになっていることに気付く。「憎しみを手放すために、まず面会交流に肯定的になってみよう」と決意。娘が元夫に会う際には「楽しかったね」などの言葉をかけるように心掛けた。

 すると娘も父と会うことを喜ぶようになり、帰宅後も「今度いつ会えるの?」と笑顔をみせるようになった。

「自分の気持ち=子どもの気持ちだと思っていました。『子どものため』と思っていたけれど、子どもの気持ちをコントロールし、嫌だと思わせながら面会交流をさせていたのではないかと。初めから楽しい時間を過ごせるようお互い努力するべきでした」

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