両足ともに質が高かった三浦淳宏 (c)朝日新聞社
両足ともに質が高かった三浦淳宏 (c)朝日新聞社

「両足を使える」というのは優秀なサッカー選手の条件のひとつだが、どれほどトレーニングを積み重ねたとしても「利き足>逆足」の関係は変わらず、Jリーガーの中でも左右両足を全く遜色なく使える選手というのはそれほど多い訳ではない。だが、その不等号を限りなくイコールに近づけた選手はいる。

 真っ先に思い浮かぶのが、天才・小野伸二だ。保育園時代から自宅の前で黙々とボールを蹴っていたという日本サッカー史上最高のテクニシャンは、毎日のリフティングでボールタッチの感覚を養い、逆足である左足の精度も磨いた。その技術は清水商高校時代にはすでに完成されており、浦和レッズ入団から18歳でのW杯出場、ワールドユース準優勝、さらにフェイエノールト時代と、随所で天賦の才を見せつけてファンを虜にした。

 特に味方が走り込んだ足元にピタリと止まるパスは最高品質。2001年7月のパラグアイ戦では、自陣左サイドから相手DFラインの裏へ、左足でバックスピンをかけたピンポイントパスで柳沢敦の先制ゴールをアシスト。逆足でのボールタッチ、スルーパスは他の追随を許さない。

 シュートに注目すれば、“キング・カズ”こと三浦知良の名前が挙がる。1993年のJリーグ初代MVPから54歳となる今年もJ1でプレーするレジェンド。最近はその年齢にばかり注目が集まるが、生まれ育った静岡、単身で旅立ったブラジルの地で培った技術は確かなもの。

 左右両足から精度の高いシュートを放ち、23点を奪って得点王に輝いた1996年は、右足よりも左足での得点の方が多かった。また、若い頃はプレスキッカー役も務め、逆足の左足でFK直接弾、さらにCKから巻いたボールで直接ゴールネットを揺らしたことも。2017年3月のJ2・群馬戦で決めたギネス世界記録認定の50歳14日での“最年長ゴール”も左足で決めたもの。まさに「両利き」のゴールゲッターである。

 同じ三浦姓である三浦淳宏も、左右両足から正確かつ鋭いキックを繰り出した。利き足は右だが、マラドーナに憧れて磨いたという左足も高精度。鋭いドリブルを武器に、左アウトサイドから縦に突破しての左足クロス、切り返しての右足クロス、さらに中央に切り込んでのシュートと多彩なバリエーションで相手DFを苦しめた。

次のページ
日本サッカー史上最高の両利きは誰?