サイドバックもこなした三浦淳宏だが、左足も蹴れる右利きの左サイドバックとしては、古くは都並敏史や相馬直樹、現役選手では駒野友一、長友佑都、酒井高徳も同じ系譜だ。この中ではフィジカル自慢である長友の左足精度がやや落ちるが、それ以外の面々は「両利き」と言えるほど左足の精度が高く、オーバーラップしてからの左足クロスで多くの得点チャンスを演出した。プロフィールデータがなければ、「左利き」と勘違いするファンもいるだろう。

 先ほど新天地・ギリシャ1部のPAOKへの移籍が決まった日本代表の元エース・香川真司も「両利き」に近い。バイタルエリア内で左右両足を巧みに使ったターン、ドリブル、パスで相手守備網に穴を開け、シュートも両足遜色なし。ハイライトシーンだけではどちらが利き足か判断するのが難しいほどだ。

 さらに現代表のプレーメーカーである柴崎岳の左足も光るものがある。基本技術の高さは折り紙付きで、ヘタフェ時代の2017年9月16日のバルセロナ戦で決めた左足のボレーシュートは、準備動作からインパクトの瞬間まで、まったく力みのない美しいゴラッソだった。その他、20代前半のJリーガーたちの中にも、ヴィッセル神戸に所属する初瀬亮や今季から浦和レッズでプレーする小泉佳穂なども「両利き」を売りにした選手。あとは、その武器をどこまで磨き上げることができるかどうかになる。

 この他にも両足を使うのが上手い選手はいるが、「日本サッカー史上最高の両利きは誰?」と問われれば、2011年のW杯優勝に大きく貢献し、アジア年間最優秀選手賞も3度受賞した女子サッカーの宮間あや、と答える。

 広い視野と左右両足から繰り出される正確無比なパスで試合をコントロールし、CKやFKなどの止めたボールの精度は抜群。右でも左でも、サイド、角度によって蹴り分ける世界でも稀な「両足プレースキッカー」だった。この宮間に限らず、世界の他国選手と比べると逆足の精度の高さは日本人選手の特徴のひとつと言える。“日本の技術力”の高さを、サッカーの世界でも再証明してもらいたい。