球団によると一軍の沖縄・宜野座キャンプは申込金2000円でチケットホルダー、グッズ1点と現地で使用できる商品券1000円分。二軍の高知・安芸キャンプでは申込金1000円でチケットホルダー、グッズ1点が渡される。熱狂的虎党からすれば今年のキャンプ限定グッズということで希少価値はあるのだろう。ちなみに申込等の対応は、すべて株式会社阪急交通社となっていた。

「キャンプの楽しみは選手との触れ合いもある。シーズン中ではサインをもらったり写真を撮ったりできる機会は限られる。選手もキャンプ中はリラックスしている時間もあり、ファンサービスにも応じやすい。またスタンドからの声援にも手を振ったりしてくれる。コロナ禍において今年のキャンプは選手と接触もできない、スタンドからの声援も送れない状況は明白だった。限定グッズは嬉しいかもしれないが、それでも料金をとるのはやり過ぎという声もあった。『このご時世なので、少しばかり球団経営に協力してください』と言われた方がファンも納得できたはず。企画自体が流れて良かったという声も」(阪神担当記者)

 世界的に勢いが収まる気配のない新型コロナウイルス。昨年からアマチュアを含め多くの競技が無観客開催となり、中には中止になったものもあった。1年延期となった東京五輪の開催に関しても、ここに来て賛否が分かれ始めている。各競技団体、チームの収益は激減、選手なども苦しい状況が続いている。

「阪神の例からは老舗球団としてのメンツを感じさせる。でもこういう時期だからこそ事情を説明し共存の働きかけをした方が健全。例えば昨年から、クラウドファンディングや募金などで協力を呼びかけるチームや個人選手の例はいくつも見かける。また『選手補強費捻出に協力を』ということでサポート会員募集の形を採っているところもある。かつてはNPB広島が樽募金をやっていたことも有名。現在はお互いに支え合う時期にあるのではないか」(阪神担当記者)

「信頼関係が最も大事。普段からチーム、選手がファンや地元に対してどう接しているのかも問われる。困った時だけ『協力してください』では誰もついて来ない。例えば、サッカー・ベガルタ仙台は選手の不祥事で募金活動を急遽中止する事態になった。阪神も昨年、藤浪晋太郎など数選手が食事会でウイルスに感染。シーズン中にも食事等に関する内規違反によるウイルス感染者が出た。このような状況もあり、さすがにお願いもできないのではないか」(スポーツビジネスに詳しいマネージメント会社関係者)

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困った時だけ、お願いでは…