“ツネ様”ほどの知名度はないが、2018年にJ2、2019年にJ1の優秀監督賞に選ばれた大分トリニータの片野坂知宏監督も、面白く、興味深い存在だ。現役引退後、コーチとして2012年、2013年のサンフレッチェ広島、2014年のガンバ大阪とチームが変わりながら、3連続でリーグ優勝を経験。2016年にJ3に降格した大分トリニータの監督に就任すると、1年でJ2に復帰させ、3年目にはJ2の2位でJ1に昇格。2019年が9位、2020年が11位と優勝争いには加われていないが、他のJ1勢と比べて戦力値が低い中、可変型システムを駆使しながらの「片野坂スタイル」と呼ばれる魅力的なサッカーを繰り広げている。森保ジャパンの方向性を踏襲するならば、片野坂ジャパンの選択は間違っていない。

 かつて、日本代表のオシム監督は「日本サッカーの日本化」を話した。そして、日本サッカーがより強くなるには「日本人の優秀な指揮官が必要だ」と訴えた。果たして、未来はどうなるのか。岡田武史監督、西野朗監督の再登板では進歩がない。新たなスター選手の出現とともに、世界レベルの優れた日本人監督の登場を、多くのサポーターは心待ちにしている。