藤波選手は殿堂会でも天龍、長州に囲まれてほんわかしているけど、結構負けん気が強いよ。だって、猪木さん、山本小鉄さん、坂口さんがいる環境で育って、その下の世代も面倒な奴らが多いだろう(笑)。そこでずっと第一線でやっていたんだから強いはずだよ。ここまで来たら長く頑張って、自分でプロレスは腹いっぱいだって満足するまでやってほしいというのが、先に引退した俺の思いだ。あと「藤波家の食卓」のスペアリブは旨い! いつも食ってるよ!

 長州力については、これもあちこちで話しているけど、フロリダで転戦していた時にお世話になっていたタイガー服部さんから、「光男(吉田光男=長州力)がここにもいたんだ。アマレスからプロレスに転向して最初はうまくいかなくてよく愚痴をこぼしていた」という話を聞いて、面識はないけど身近に感じるようになった。俺も相撲からプロレスに転向してうまくいかずに悩んでいた時期で、同じような経験をしているんだなって。

 長州力との初対面は帰国後、記者クラブの表彰式だった。その当時、女子プロレスの人気がすごくてね。俺はひねくれているから「ふん、女子プロなんて」と斜に構えていたけど、長州はダンプ松本を見かけたとたん「おお! ダンプちゃん! 元気~?」なんて気軽に声をかけて驚いたよ! あの頃は仏頂面で気難しそうな男だったから、こんなにフランクに声をかけるんだってね。

 この時をきっかけに親しくなって、よく飲みに行くようになったんだ。見かけはいかつくてムカデみたいな顔してるけど、一度気を許した相手には楽しくてフランクになるよね。ジャイアント馬場さんから「お前は長州と仲がいいんだろう? 全日本に来ないか聞いてみてくれないか?」と言われて、長州に打診したことがあるけど、そのときは「俺は今の新日本で満足しているから」と断られた。だから、数年後に全日本プロレスに移籍してきたときはビックリしたよ。その時は俺は絡んでいないからね。

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長州との対戦は一度も飽きることがなかった