ダート短距離で重賞を4勝しているコパノキッキングもジャスティンと同じくサウジダートスプリントに参戦を予定。一方でモズスーパーフレアは浮上していた3月のドバイ遠征を取りやめて国内に専念するなど、やはりコロナの影響は各陣営のかじ取りに大きな影を落としている。

 一方、凱旋門賞の項でも触れたクロノジェネシスは春にもドバイと香港への遠征を視野に入れている。参戦するレースの候補はドバイターフ(芝1800m)かドバイシーマクラシック(芝2410m)と、クイーンエリザベス2世カップ(芝2000m)。見通しが立たない中でも遠征準備は整えておくと陣営は語っているという。

 思い返せば、昨年のドバイワールドカップデーは直前で開催中止が決定。現地入りしていた日本馬19頭はレースを走ることなく帰国を余儀なくされた。そのことを思えばコロナによる混乱が収束に向かうまでは海外遠征を控えようとする動きも十分に理解できる。サラブレッドの旬は短く、海外に遠征した挙句に出走できないのでは失うものがあまりに大きいからだ。

 だからこそ、もし有力日本馬が海外遠征を回避したとしても、陣営を責めることは控えていただきたい。むしろ英断だと声をかけてもらいたい。そして海外ではなく日本の競馬場で名馬たちが走ることを喜んでほしいと思わずにはいられない。(文・杉山貴宏)