「コミニュケーションが足りない、とグリッツのコーチが言う。周囲と連携が取れるかは重要。仕事の任せ方や自身の成長に繋がる。僕は何かあれば自ら行くし、何か生まれるとも思う。自分で考えることで視野も広がる」

「日本の環境を変えて行くのはプロ意識。良い手本はたくさんある。貪欲に情報を取り参考にして欲しい。選手、審判、連盟、スタッフ……、みんなが変えて行かないと好転しない。お金も生み出せない。アグレッシブに上を目指して欲しい」

 現状に歯痒さを感じているはずだが、視野を広く持ち、客観的な行動を心掛けている。今後、NHLにたどり着くための課題などは、どう考えているのだろうか。

「持ち味はシュートなのでゴールに魅力は感じる。でもどんな選手と組んでも生かしてあげたい気持ちもある。最近は試合に応じて自らのアプローチも変えている。自分自身の引き出しも増える。どんなチーム、監督とやっても『こいつならできる』と思われたい。自分の幅が必要だし、足りない部分も多い。それが現在考えていること」

 冷静な自己分析から課題も認識しており、その中で確かな手応えもある。

「毎年、レベルアップするのを見逃して欲しくない。各分野、パスもシュートも、ゲームコントロールも、フィジカルも、少しずつ大きくなっている。少しでもレベルを上げることを意識していて、その実感もある。絶対にNHLでやりたい」

 平野の言葉からは大きな自信が感じられる。NHLプレイヤーを目指す歩みは止まらない。『その日』は意外と早く訪れる気がする。(文・山岡則夫)

●プロフィール
山岡則夫/1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌『Ballpark Time!』を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、編集・製作するほか、多くの雑誌、書籍、ホームページ等に寄稿している。Ballpark Time!公式ページ、facebook(Ballpark Time)に取材日記を不定期更新中。現在の肩書きはスポーツスペクテイター。