「最も伸びる時期だと感じる。それなのになんでこういうことが起きるんだ」

 いまだ収束の気配を見せない新型コロナウイルスの蔓延。スポーツ界にも大きな影響を及ぼし、試合自体ができない競技やチームもある。契約したサイクロンズは、シーズン中止を決断した。

 平野は、開幕までの期限付きだったグリッツにそのまま在籍。同時に今季中に加入できるチームを探す。可能な限り早く、NHL関係者の目につく場所(=北米)でのプレーを再開する気持ちだ。

「悔しいけど、自分自身ではどうにもできないこと。でも逆に試されているんだな、とも思う。考え方次第でいろいろ捉え方はある。日本で新しいものも獲得できる。良い時間だし、そうなるように貪欲にやりたい」

「コロナ禍で、『命あってこそ』というのが大前提。それでも僕の目指しているのは世界最高峰の場所。そこへつながる路線(=北米リーグ)にいることが重要。チームが見つかれば挑戦したい」

 IH界のトップに入り込むためには、自らレベルを落とせない。しかし我が国のレベルは世界水準では決して高くない。そこでの懸念などはないのだろうか。

「フィジカル、技術、スピード、判断力、メンタル……。すべてにおいて違うのは事実。その中で個人的には、やりがいがある。どれだけできるか? グリッツを変えられるか? チームを引っ張っていける場所にいるのが楽しい。手応えは得ているがプロは結果が全てなので、繋がるようにしたい」

「組織的には甘い部分も感じる。例えばアジアリーグという狭い世界なので、他チームに知り合いが多い。試合の時に敵になってないと感じる時もある。また契約すれば1シーズンはチームにいられる。北米ではダメならカット(=クビ)されることが常。そういう過酷さがない。厳しさは伝えたい」

 現在は新チームを探している最中。見つかればNHLへ向け現地での挑戦を再開する。しかし同時に日本への思いも深い。U-18日本代表になってから、日の丸を背負って来た。日本が進歩するためのヒントも語ってくれた。

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