1917年に第1回大会が行われた全国高校サッカー選手権大会は、今年度で99回目を迎える。この長い歴史の中で多くのスター選手、伝説のヒーローたちが生まれ、冬の日本サッカーを鮮やかに彩ってきた。その記憶を蘇らせるため、1990年代、2000年代、2010年代に分けて、『高校サッカー選手権・年代別ベストイレブン』を発表したい。今回は1990年代編(第69回~78回大会)。
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1993年Jリーグ発足から沸き起こった空前のサッカーブームの中で、新時代の到来を予感させたのが、1990年代の高校サッカーを沸かせた面々だった。
【GK】
GKでは、川口能活(清水商)が強烈な輝きを放った。後に日本代表でも数々のビッグセーブを見せた男は、1年時から名門の正GKとして選手権に出場。3年で2度目の出場となった第72回大会は、田中誠、佐藤由紀彦、安永聡太郎らを擁したチームのキャプテンとして、予選から準々決勝まで11試合連続無失点を記録。準決勝では鹿児島実業とのPK戦を自らのセーブで勝利に導き、決勝では前年度王者の国見を下して優勝。当時から甘いマスクで人気を集めただけでなく、高校生のレベルを遥かに超越した圧倒的なパフォーマンスで絶賛の嵐を受けた。
【DF】
DFは3人。1人目は中西永輔(四日市中央工)。小倉隆史、中田一三との「四中工三羽烏」として名を馳せ、高い身体能力を武器に超攻撃サイドバックとして活躍。3年時の第70回大会で帝京との両校優勝に貢献した。
2人目は金古聖司(東福岡)だ。1対1に対する絶対的な強さと正確なフォードを併せ持ち、2年時の第76回大会では帝京との“雪の決勝”を制して優勝を飾るとともに5得点を挙げて史上初のDFでの得点王にもなった。さらに3年時の第77回大会にも出場。キャプテンとしてチームを引っ張って2連覇を達成。プロ入り後は相次ぐケガで大成できなかったが、高校選手権においては別格の存在感を放っていた。
3人目は羽田憲司(市立船橋)。キャプテン&DFの要として的確な判断力で最終ラインを統率し、3年時の第78回大会で決勝戦を含む全6試合無失点の鉄壁さで優勝に大きく貢献した。決勝では松井大輔を擁する鹿児島実業にも得点を与えず2対0の完封勝ちを収めた。