婚約内定の会見時の眞子さまと小室圭さん(c)朝日新聞社
婚約内定の会見時の眞子さまと小室圭さん(c)朝日新聞社
河西秀哉(かわにし・ひでや)/1977年生まれ。歴史学者。著書に『近代天皇制から象徴天皇制へ』、編著に『平成の天皇制とは何か』など。
河西秀哉(かわにし・ひでや)/1977年生まれ。歴史学者。著書に『近代天皇制
から象徴天皇制へ』、編著に『平成の天皇制とは何か』など。

 秋篠宮家の長女・眞子さま結婚問題。秋篠宮さまは「結婚は認める」としながらも、「結婚と婚約は違う」というご発言もあり、苦しい胸の内がみてとれる。世の中には「お互い納得しているのなら」という声もあるが、反対の声も無視できないほど大きくなっている。どうしたら国民の多くが納得し、祝福できる状態になるのか。名古屋大学准教授(歴史学)の河西秀哉氏に聞いた。

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――今回の眞子さまの結婚問題に世の中が騒ぐ理由として、人々は皇族に関しては「家」と「家」の結びつきを重視する、旧来の価値観を引きずっているという指摘がありました。とはいえ、上皇さま美智子さまの「テニスコートの恋」は有名ですし、「(雅子さまを)一生全力でお守りしますから」と発言された天皇陛下と皇后の雅子さまの場合も両性の合意があっての結婚です。秋篠宮さまと紀子さまも同様です。いわゆる「恋愛結婚」を、国民は認めているように思います。

河西秀哉氏(以下、河西):皇族の恋愛結婚そのものについては認めるものの、国民にも祝福できるか、できないかのラインがあるということでしょう。

 婚約内定の会見時には、お相手の小室圭さんに「パラリーガル」や「海の王子」といったいまどきの若者らしい部分が垣間見えても、お2人は世間に祝福されました。恋愛結婚についてはおおむね認めていたのです。このときのクリーンなイメージのままならば、不安を胸に抱く人はいても、ここまで反対の声は大きくならなかったでしょう。

 やはり、小室さん親子の金銭トラブルが報じられたことで、恋愛結婚でも祝福できるラインを踏み外してしまったのです。

 その後、平成から令和のお代替わりで、人びとは伝統を意識するようになりました。それも大きいですね。「皇室はきれいなままでいてほしい」という思いが強くなり、この問題で「傷つけられた」と感じるようになったのではないでしょうか。

――金額の多寡ではなく、お金の問題だったことが大きいと。

河西:俗世間の汚さや、やらしさを「お金」というものが象徴しているからでしょう。小室さん親子の金銭トラブルに限らず、今回の眞子さまの結婚問題で、世間が注目するのは、一時金が出るのか、出ないのか、その金額はいくらなのか、それがどのように使われるのかなど「お金」にまつわる事柄です。

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家のお金を吸い取られる