報道に対する世間の反応を見ていると、「家のお金を吸い取られる」という感覚を持っているように思います。

 また、今回驚いたのは「(投入されるのは)私たちの税金なんだ」という意見が多いことです。要するに、ひたらく言えば「食べさせてやっている」という意識です。いまのネット社会で、心の声が可視化されるようになったことが大きいにしても、これは前例のないことです。

 昭和や平成の時代に、心のどこかで「税金が使われている」という認識はあったにせよ、皇室の方々に対して「税金で食べさせてやっている」なとど声を上げる人がいたでしょうか。よくない前例になってしまいかねない、と危惧しています。

――危機的な状況だと。

河西:いま、皇室への関心がかつてないほどに高まっているといえますが、残念ながら、それは悪い意味でです。このままでは、皇室の存在意義に疑問を持つ人も出てくるでしょう。ただ、いまはまだ、批判している人も「国民の側に戻ってきてほしい」という期待感を持っているように思えます。

――これから、お2人ができることは何だと思いますか。

河西:小室さん本人が出てきて、話すことです。拙い内容でもいいので、説明して誠意をみせることです。

――一応、小室さん側は「紙」では説明しました。昨年1月にマスコミ各社にファクスが届きました。その中では「解決済みのことであると理解していました」と主張しています。

河西:国民の理解を得るためには、姿を見せることは大事ですね。なかなか紙では……。

 一概に比べることはできませんが、平成の時代に、なぜ皇室が国民から敬意を受けることができたのでしょうか。天皇皇后両陛下が、国民に姿を見せ続けたことが大きいと思います。被災地の慰問を続けられ、公務で訪れた際には出会う国民すべてに丁寧に接する。その様子をテレビという映像を通じてではありますが、国民は目にしてきたのです。そうした積み重ねが支持につながったのです。

 先日の宮内庁長官“苦言”も、姿を見せて説明することの重要性を踏まえての発言だったのではないでしょうか。

 それ以外の方法で、批判の声を鎮めるのは難しいと思います。

(聞き手/AERAdot.編集部 鎌田倫子)