5.心寂しい(うらさびしい)
~心は表に見えないので「うら」ともいう

「なんとなく寂しい」ことを表します。「うら」を「裏」だと勘違いしがちですが、正しくは「心」と書きます。心は表に見えないものなので、「裏」と同じ意味で「うら」とも読むのです。「寂しい」などの形容詞について、「心の中で」「心の底から」という意味があります。転じて「おのずから」さらには「なんとなく」という意味になりました。

6.忌憚(きたん
~忌み憚ることなく意見を述べる

「忌憚のないご意見をお聞かせください」のように否定を伴って用いられます。「忌憚」は文字通り「忌み憚(はばか)る」ことで、転じて「遠慮すること」を意味します。したがって「忌憚のない」とは「遠慮することのない」という意味になります。忌憚のない意見を求めるということは、それだけいろいろな意見を必要としているのです。

7.袂を分かつ(たもとをわかつ)
~袂がつくほど親しかった者どうしの別れ

「人との縁を切ること」や「絶交すること」を表します。「袂」とは和服の袖の下に垂れ下がった袋のような部分または袖のことです。袂がつくほど親しかった者どうしが別々になるという意味で、「袂を分かつ」が別離のことを表すようになったと考えられています。

※漢字エンタメ誌「みんなの漢字2021年1月号」から抜粋
監修/久保裕之(立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所)