――「未来ナース」では、当時流行した日焼けした肌の「ガングロコギャル」たちをその子さんが「お姫様のように白くさせる」コーナーが人気でした。そこで、浅草キッドの2人は「碁盤に綺麗に碁石が並んでいますね―。もう一手、思わず打ちたくなります」「吉田栄作の白いTシャツと加勢大周の黒いタンクトップ!」「祇園の舞子をはべらす、釣り三昧で日焼けした松方弘樹のようです」など、きわどいフレーズを連発していました。一般人のその子さんはよく怒り出しませんでしたね。

博士:われわれには全幅の信頼を寄せていましたね。クレームを入れようとしたその子先生の会社のスタッフを、面前で叱り倒したほどです。

――『お笑い~』によれば、その子さんは「この人たちは漫才師だかなんだかでプロで何年も食べてらっしゃる方々なんだから、いろいろ注文はつけないで彼らを信頼してやりましょう」と言ったとか。

博士:そうですね。しかし、当初はわれわれ以外のタレントとの共演だとご機嫌ナナメ、不愉快になることがありました。ボクらが、語彙が豊富でギャグに質が高いことをその子先生はわかっていました。白いだけのイジりでは、だれも番組を展開できませんから。

――そのこさんの会社(SONOKO)のスタッフによれば、その子さんは「本物を見極める、本物を選ぶ」という考えを事業でも大事にしていたそうです。そこに通じるのかもしれません。さて、最終的には誰もがその子さんを「イジれる」ようになりました。そして、大衆の人気を獲得していきます。一体、何がきっかけだったのでしょうか。

博士:「その子ライト」の解禁が大きかったです。そのあたりは、ナンシー関さんが週刊誌のコラムで「照明ネタのネタばらしも大きかったと思う」と指摘していました。

――ここで若い世代のために、その子ライトの解禁について補足しておきます。女優やタレントが、シミやしわを目立たせなくするために、カメラの外から光を当てる照明技術があります。それは通常は視聴者に見えないようにやるところ、浅草キッドの2人はあえて映り込ませるという大胆な演出をしました。もちろん、事後的にですが、その子さんの了解を取り付けたました。

 その後、その子ライトは他のバラエティーでも取り入れられ、その子ブームは加速していきました。ご本人はブームを自覚していのでしょうか?

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令和でも類似のブームは再来する?