現役のAKB48メンバーとして初の国立大学合格者となった黒須遥香さん(撮影/東川哲也・写真部)
現役のAKB48メンバーとして初の国立大学合格者となった黒須遥香さん(撮影/東川哲也・写真部)

 現役のAKB48メンバーの中で、初めての国立大学合格者となった黒須遥香さん。現在発売中の『国公立大学by AERA 2021』(朝日新聞出版)で、一度はあきらめかけた第一志望に再挑戦したきっかけや、仕事と勉強の両立に悩んだ受験生時代のこと、大学生になってからの思いについて聞いた。

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 黒須遥香さんがAKB48のオーディションに合格したのは、高校1年生のとき。以来、芸能活動と学業の両立を続け、今年、2度目の挑戦で第一志望の国立大学に合格を果たした。

「いま通っている大学を選んだ理由は、以前から興味を持っている分野について学べる学科があったからです。AKB48の活動を始めてしばらくは、大学受験のことを考える余裕もなかったのですが、高校3年生になって志望校を決めようと思ったとき、真っ先に浮かんだのがこの大学でした」

 とはいえ、1度目の受験時は、本格的に勉強を始めたのが11月。同級生に追いつこうと入試問題演習にも取り組んだが、さすがに準備が間に合わなかった。

「私立大学には合格したので、そちらに進学しようと決めたのですが、やはり自分の中には後悔もあって。当時一緒にお仕事をしていたスタッフの方からの『浪人しても、第一志望に行ったほうがいいと思う』という言葉を聞いて、もう1年頑張ろうという気持ちが固まりました」

■朝から夜までの学習計画 自分を甘やかしたくない

 そこからの毎日は予想以上にハードだったが、目標に向かって突き進む充実した日々でもあった。

「目の前にいくつか選択肢があると、私はその中の一番大変な道を選びたくなるんです。自分に負けたくないというか、甘やかしたくないというか……。あえて受験科目が多い国立大学に挑戦したのも、そういう気持ちがあったからだと思います」

 口調はおっとりとしているが、言葉の端々から芯の強さが伝わってくる。

「浪人中は予備校には通わず、自分で毎日の学習スケジュールを立てていました。8時半から9時半は国語、その後は英語というように結構細かく決めて、お仕事がオフの日は朝から夜までびっしり。教材もよく使う数冊に絞って、時間を効率よく使うよう心がけました」

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