他には2018年に広島にいたベサルト・ベリーシャは、ユーゴスラビアから独立したコソボの代表選手。2019年に半年間だけ磐田でプレーしたジェルソン・ロドリゲスは、ヨーロッパの中心に位置する小国、ルクセンブルクの代表選手だった。

 そして現役Jリーガーたちを見渡しても、“レアな国”と関係のある選手は多い。鳥栖、神戸を経て今季からFC東京でプレーするDFジョアン・オマリはドイツ生まれだが、両親は中東のレバノン出身で、自身も同国の代表としてプレーする。仙台の守備の要であるDFシマオ・マテはアフリカ大陸南東部に位置するモザンビーク出身。さらに今季が浦和加入3年目のMFクエンテン・マルティノスはオランダ領キュラソー出身だ。キュラソーといえば、日本ではプロ野球のシーズン本塁打記録を持つウラディミール・バレンティン(現ソフトバンク)の印象が強いが、マルティノスもバレンティンに負けないぐらいの知名度を手にする活躍を見せて欲しい。

 さらに、目下J1得点王レーストップを突っ走る柏のFWマイケル・オルンガはケニア出身。ケニアといえば世界最強の長距離王国であり、サッカーのイメージは皆無。実際に代表チームは国際大会での実績はまったくないが、オルンガが日本での大活躍から、今後世界的プレイヤーになれるかどうかも大きな注目点となっている。

 彼らの出身国を見てもわかるように、国の政治情勢や経済事情に関係なく、ボールひとつあればどんな場所でも始められるのがサッカーというスポーツである。そして彼らは鍛錬を重ね、プロとして生計を立て、言葉も通じない遠い島国へはるばるやって来た。「世界は広い」と感じるだけでなく、彼らの“ジャパニーズ・ドリーム”に対して敬意とエールを送りたい。