ちょっとした心がけで信頼を築き上げることができます。※写真はイメージです(Gettyimages)
ちょっとした心がけで信頼を築き上げることができます。※写真はイメージです(Gettyimages)

 親しい人たちにチヤホヤされると、だれしも気分がいいもの。でも、その結果、自分の実力を勘違いしてしまい、恥をかくことに……。そんな失敗をしたことはありませんか? 『人気NO.1予備校講師が実践!「また会いたい」と思われる話し方』(朝日新聞出版)の著者の犬塚壮志氏は、そのような苦い経験を糧にし、話し方を変えることで、人気No.1講師へと変貌を遂げたと言います。その話し方のコツを、同書から一部を抜粋、再編集して紹介します。

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■自分を過大評価してしまう人が陥るワナ

 人はチヤホヤされると、自分の実力を実際以上のものだと勘違いしてしまいがちです。特に、自分のことを認めてくれる人たちが集まったコミュニティの中にいると、徐々に自分の力を過信する「認知のバイアス(偏り)」が強くなっていきます。これだけの人が応援してくれるのだから、自分はより多くの人に認められるはずだ、と。

 そんな状態に陥ると、ときに手痛いしっぺ返しを受けることになります。

 たとえば、私がいくら予備校講師として結果を出し、受験生から認められていたとしても、駿台予備学校というコミュニティの外に出てしまえば、「予備校では優秀だったかもしれないけど、私たちに何を提供してくれるの?」という冷めた視線にさらされるわけです。

 駿台予備学校を退職し独立したときに、そんな現実を私は身をもって知ることになりました。

 話し手は自分のことを受け入れてくれるコミュニティを大切しながらも、世間一般から見た自分の価値を客観視する必要があります。大切なのは、冷めた視線にさらされる現実をいつも意識しておくこと。世間のモノサシを忘れずにいることが、謙虚さにつながります。

 また、今あるもので勝負するという意識も重要です。SNSなどでコミュニティを広げていった場合、話し手が背伸びをし始めてしまう失敗パターンがあります。

 ネット上では、コピーライティングのやり方や数字の出し方次第で、実力以上の成果が出ているかのようにアピールすることも可能です。しかし、コピーや数字のマジックでつま先立ちをして自分を大きく見せたとしても、そこで得た評判、広がった口コミはまやかしです。小さなきっかけでメッキが剥がれ、築き上げてきた信頼そのものを失うことになりかねません。

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信頼を失わないようにするにはどうすべきか?