バウアー以外の大物でFAとなっている選手では、イチローのマリナーズ在籍時にエースを長年務めていた元サイ・ヤング右腕フェリックス・ヘルナンデス(投手・前ブレーブス)や、2011年に本塁打と打点で二冠王に輝いたマット・ケンプ(外野手・前ロッキーズ)がいる。2人とも大物度としては申し分ないが、ヘルナンデスが34歳、ケンプは36歳と年齢的にベテランの域に入っている。成績も徐々に下降しており、ヘルナンデスに至っては新型コロナウイルスの蔓延を理由に今季は全休している。オリックスに加入したジョーンズも同じような年齢と成績の推移で来日して苦しんだだけに、日本の球団も手は出しにくい状況ではあるか。

 彼ら以外で知名度もあり、実績がある選手ではディー・ゴードン(内野手・前マリナーズ)がいる。日本ではイチローをリスペクトしているプレイヤーとして知られるようになり、昨年東京ドームで行われた引退試合では涙を流したことが話題となった。

 イチローとのエピソードで有名なゴードンだが、マーリンズ時代の2015年には首位打者となり、過去3度盗塁王を獲得。オールスターには2度の選出を果たした正真正銘のスーパースターだ。年齢も32歳とまだまだ老け込む時期ではないが、近年はケガの影響もあり、以前のようなパフォーマンスを見せられていない。今年も33試合の出場で打率.200、3打点、3盗塁とキャリア最低の成績に終わっている。

 まだまだやれると判断し、獲得に立候補するメジャー球団が現れる可能性も高いが、尊敬するイチローの母国の球団がオファーを出せば、興味を示してくれるはずだ。ここ数年の成績からも、そこまで高い年俸を提示するチームはないと思われ、日本の球団も十分対応できる額になるだろう。今年、阪神でプレーしたボーアもマーリンズ時代にイチローとプレーしたことが少なからず影響して来日したとも考えられるだけに、ゴードンもお金以外の“魅力”を見出し、日本に来てくれるかもしれない大物の一人である。

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日本で復活を目指す“元一流”たちも?