瞬間湯沸かし器のような人はどの世界にもいるものです(イラスト/桔川伸)
瞬間湯沸かし器のような人はどの世界にもいるものです(イラスト/桔川伸)

 ひらがなやカタカナでの表記が多く、「漢字だとどう書くんだっけ?」と思ったことはないでしょうか。しかも、小学校低学年で習う簡単な漢字ということもあります。そんな、意外と思いつきにくい漢字のうんちくを紹介します。

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1.取り(=とり)
~最後の演者が全出演料を受け取った

 「とりをつとめる」というときの「とり」は、漢字で「取り」と書きます。この「取り」はもともと、寄席の用語といわれています。寄席には多くの演者が登場しますが、最後に出演する真打が全員分の出演料を受け取り、各出演者に振り分けました。そこから、最後の演者を「取り」とよぶようになったのです。振り分けられた出演料は「割り」といいます。

2.骨(=こつ)
~人体の基本なのでいろいろなことの本質の意味に

 「こつをつかむ」というように物事を行うときのかんどころや、要領を意味する「こつ」は、「骨」と書きます。人体において、骨は基本となる部分なので、転じていろいろなことの基礎や本質、さらにはその道の奥義などの意味になりました。「骨」と書くと「ほね」とも読めてしまうので、ひらがなやカタカナで表記することが多いようです。

3.総好かん(=そうすかん)
~みんなが好きではないと漢字でわかる

 みんなから嫌われる意味の「そうすかん」は、漢字で「総好かん」と書きます。「総すかん」のように書かれることが多いのでわかりにくいかもしれませんが、「すかん」は関西方言で好きではないという意味の「好かん」です。「総」は「みんな」ということで、「総好かん」はみんなが好きではないという意味になります。

4.若気る(=にやける)
~「薄笑いを浮かべる」という意味ではない

 「若気」とは、身分の高い人に使えた「小姓」のことです。小姓は主人の身の回りの世話をする若い男性で、女性的な一面を持ち合わせていました。そこから、男性が女性的で色っぽい様子を「にやける」といい、のちに広く「なよなよしている」意味にもなりました。「若気る」の意味は「薄笑いを浮かべる」だと思われがちですが、本来の意味とは異なるのです。

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