2020年の「クラスの日」の様子(神奈川県横須賀市で。写真/同校提供)
2020年の「クラスの日」の様子(神奈川県横須賀市で。写真/同校提供)
2017年の「クラスの日」に、静岡・伊豆に行ったクラスの集合写真(写真/同校提供)
2017年の「クラスの日」に、静岡・伊豆に行ったクラスの集合写真(写真/同校提供)
東京都国立市にある桐朋中学校・高等学校(写真/筆者撮影)
東京都国立市にある桐朋中学校・高等学校(写真/筆者撮影)

■生徒たちが見守る中、担任教師はバンジージャンプに挑んだ

 数年前のこと。千葉県富津市にある「マザー牧場」に男子中学生の団体がやってきた。

 その生徒たちがひときわ興味を示していたのは「山の上エリア」に設置されたタワー。標高321mに設置されたタワーの頂上からは房総半島の山々と東京湾を望むことができる。ここから20m以上下に向かって人が飛ぶのである。そう、「バンジージャンプ」だ。

 生徒たちは「挑戦したい」と先生に訴えたが、18歳以下のバンジージャンプには指定の同意書に保護者の署名が必要になる。

 残念がる男子中学生たち。だが、ある生徒がこんな一言を切り出した。

「だったら、先生、バンジージャンプをぼくらにやってみせてくださいよ!」

 大盛り上がりの男子中学生たちに担ぎ上げられたのは、若手の担任教師。そして、担任教師は生徒たちが見守るなか、バンジージャンプを見事に決め、生徒たちは大興奮したという……。

「これは中1のときの忘れられない思い出の一つですね。『クラスの日』での出来事です」

 そう語るのは現在桐朋高校に通う2年生の男子生徒だ。

■広大で充実した学び場

 東京都国立市。JR国立駅から南に延びる広い一本道「大学通り」の両側には並木が続いていて、春の桜や冬場のイルミネーションは壮観だ。その沿道にあるのが、この通りの名前の由来になっている一橋大学と、屈指の進学校として名を馳せる東京都立国立高校、そして、今回紹介する名門男子校、桐朋中学校・高等学校だ。

 桐朋は、男子御三家の一つ、麻布の「自由さ」と、同じく男子御三家である武蔵の「アカデミックさ」の双方を備えている男子校だと、教育業界でよく言われている。教育目標として「自主的態度を養う」「他人を敬愛する」「勤労を愛好する」の三つを掲げている。

 同校のキャンパスに足を運ぶと、その広大さに圧倒される。木々に囲まれたキャンパスには真っ白な校舎。その中には天文ドームやプラネタリウム、太陽観測所などの学習施設。また、運動施設も充実していて、両翼90m超の野球グラウンド、サッカーの公式試合も開催される東グラウンド、体育室(体育館)にいたっては何と四つある。ほかにもプールや柔道場、トレーニングルーム……。このキャンパスに魅了されて同校を目指す受験生が多いのもうなずける。

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矢野耕平

矢野耕平

矢野耕平(やの・こうへい)/中学受験専門塾スタジオキャンパス代表・国語専科 博耕房代表。1973年生まれ。著書に『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)、『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『13歳からのことば事典』(メイツ出版)、『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』(ともに文春新書)、『LINEで子どもがバカになる「日本語」大崩壊』(講談社+α新書)、『旧名門校 VS 新名門校』(SB新書/SBクリエイティブ)、『早慶MARCHに入る中学高校』(朝日新書)など多数。

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