今年の運動会は「感動がなかった」「担任が変わってクラスの一体感がなくなった」という保護者からの言葉ほど先生にとってつらいものはありません。また、そういう言葉が出るかもしれないという重圧も強く感じています。管理職である校長や教頭先生もそれは同様で、保護者からの評判を重んじて、派手な見世物や無理な演出を先生(部下)に求めてしまうというのもよく聞く話です。こうした保護者からの評判や校長(上司)らの要望に気を取られるあまり、いじめが見落とされがちになってしまうのです。

感染対策で必死? 今年はコロナによる影響も

 今年は新型コロナウイルスの影響も大きいです。報道によれば接触を避けて騎馬戦や巨大組体操は中止する学校も多く、リレーのバトンはレースごとに消毒するなど工夫もされているそうです。こうした感染対策を必死でこなしているのは先生です。しかし騎馬戦や組体操がなければ「感動がなかった」とまた言われてしまうかもしれません。コロナによって、ますます子どもに眼が向きにくい状況が生まれています。

運動会前後に多い不登校 子どもたちの本音は

 実は、いじめだけではなく、運動会の前後で不登校になったという話は、よく聞いてきました。以下は私が編集長をしている『不登校新聞』に載せられた声です。

「学校へ行くと体調が悪くなる、夜中には咳が止まらないという状況だったんですが、運動会を機に本格的に動けなくなりました」(14歳・女性)

「はっきりと不登校が始まったのは小学校4年生のとき、5月下旬の運動会の翌日からです。朝、起きてはいましたが布団にもぐりこんで『石』みたいに固まっていました」(17歳の子を持つ母親)

 このほかにも幼稚園生から中学生まで幅広い年齢で運動会前後に「動けなくなった」という話を載せてきました。理由としては「先生からの指導(大声)が怖かった」「集団行動に疲れた」「苦手なことをがんばりすぎて燃え尽きた」などの声が多かったと感じています。

子どものための運動会に 大人の満足が目的ではない

 このように問題が多く、注意が必要な運動会シーズン ですが、改善するための方針が2つありますので提案させてください。

次のページ
大人はこどもをがんばらせなくていい