そろそろ目立った実績が欲しい中日・鈴木翔太(左)と阪神・北條史也(画像は中日ドラゴンズ、阪神タイガースからの提供写真)
そろそろ目立った実績が欲しい中日・鈴木翔太(左)と阪神・北條史也(画像は中日ドラゴンズ、阪神タイガースからの提供写真)

 10月26日のドラフト会議まであと1カ月を切り、各球団の候補選手の名前が頻繁に出てくる時期となった。しかしその一方で入団当時は高い期待をかけられながらも、なかなか殻を破ることができない選手も少なくない。今回はそんな上位で指名を受け、将来を嘱望されたものの、もう期待の若手とは呼べない苦しい状況の選手たちをピックアップしてみた。

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 まずはセ・リーグ。首位を走る巨人で真っ先に思い浮かぶのが宮国椋丞だ。2010年のドラフト2位で入団。将来のエースとして高い期待をかけられ、2年目の2012年には6勝2敗、防御率1.86と見事な成績を残したものの、結局これがキャリアハイとなっている。ここ数年はリリーフで起用されているが、今年もここまで防御率4点台後半と結果を残すことができていない。今年で10年目となり、オフには大規模なリストラも噂されているだけに、かなり厳しい状況と言えるだろう。

 ドラフト1位が伸び悩んでいる印象が強いのが中日だ。今年は2012年1位の福谷浩司が先発で成績を残しているが、2013年1位の鈴木翔太、2015年1位の小笠原慎之介、2017年1位の鈴木博志は揃って二軍暮らしが続いている。鈴木翔太は天性の柔らかい腕の振りが高く評価されていたが、それを支える体自体がなかなか大きくならず、故障を繰り返している。二軍ではリリーフとして登板しているが、結果を残すことができていない。

 小笠原は逆に高校時代から懸念されていた太りやすい体質によってフォームにもボールにもキレがなかなか出てこない。2年目と3年目に5勝をマークしたが、今年はここまで1勝で防御率も7点台と散々な成績に終わっている。鈴木博志は1年目に中継ぎとして53試合に登板し、昨年もシーズン序盤は抑えを任されて14セーブをマークしたが、日に日に調子を落として今年は一軍の戦力にはなっていない。スピードはあるものの、それを生かし切れていないのが現状だ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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ソフトバンクには苦しむ上位指名選手多し