ソフトバンクと首位争いを演じているロッテで気がかりなのが2015年1位の平沢大河だ。3年夏に出場した甲子園では3本のホームランを放ち、2球団競合による1位でプロ入り。3年目の2018年には外野でのプレーが多かったものの112試合に出場し、レギュラー獲得の雰囲気を見せていた。しかし昨年は大きく成績を落とすと、今年は二軍でも打率1割台と不振の日々が続いている。チーム内には安田尚憲をはじめ伸び盛りの若手が多いだけに、その波に上手く乗りたいところだ。

 楽天も上位指名の伸び悩みが目立つ。野手では平沢の外れ1位で入団したオコエ瑠偉が二軍でもなかなか出場することができていない。投手では2014年1位の安楽智大が今年中継ぎとしてようやく戦力にはなっているが、2012年1位の森雄大は故障が多く育成契約となり、2016年1位の藤平尚真、2017年1位の近藤弘樹もこれまで目立った実績はない。他球団からの大型補強では長期的にチームを強くすることはできないため、しっかりとチームの軸となる選手を育てる必要がありそうだ。

 打率と同じように、ドラフトで獲得した選手も3割当たれば成功と言われている。しかし上位で指名した選手がその確率ではチームは強くならない。ソフトバンクのように多くの育成選手を抱えることができないのであれば、上位指名で獲得した選手の成功率を上げることは必要不可欠と言えるだろう。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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