3年生の3人もそれぞれステイ・ホーム、3月から5月末まで自粛生活へと入った。5月13日には大相撲の力士、勝武士さんが28歳の若さで新型コロナウイルスの感染で亡くなって、高校生の相撲大会の再開へのハードルはさらに上がったともうわさされている。司令塔的存在のキャプテン・大村くんは、自粛当初の気持ちをこう振り返る。

「選抜大会で団体3位以内に入って勢いをつけ、インターハイを目指そうと言ってました。でも、その選抜がなくなってしまい、びっくりしたけど、仕方がない。あきらめは割とすぐについて、インターハイと国体に向かって頑張ろうと切りかえられたんです」

 大村くんは静岡県西部・浜松市の出身。おじいちゃんは元・静岡県相撲連盟(注・アマチュアの相撲団体)の会長で、小学校1年から相撲を始めた。「最初はぜんぜん勝てなくて好きじゃなかった」と話すが、6年生で今と同じぐらいに身長が伸びて筋肉がついた。横綱・白鵬が主催する小中学生の相撲大会「白鵬杯」でベスト8に入って、そこからは相撲まっしぐら。今は164センチ、110キロの小柄マッチョな体型で、大量な塩撒きが有名な大相撲の照強のようなタイプだ。

「ところがインターハイが中止になってしまい本当に落ち込みました。僕は1年、2年と、一度も全国大会に出られなかったんです。去年、インターハイで(大桑)元揮さんが優勝したんで、今年は自分もすごく燃えていたのに、このまま一つも全国大会に出られずに終わってしまう。正直、やる気もなくなってしまいました。『3年間目指してやってきたことってなんだったんだろう』という気持ちになってしまって……」(大村くん)

 同様に、永田くんも深く落ち込んでしまった。身長166センチ、112キロ。小兵で、相撲部のみんなに癒やしを与えるキャラの永田くんは大関・貴景勝のように、押し相撲が得意だ。

「やっぱり昨年、インターハイで元揮先輩が優勝した瞬間、ものすごくカッコよかったんで、自分も頑張ろうって思っていました。それがインターハイも国体も大会が次々になくなって、正直、『相撲を辞めてしまおう』とも思いました」

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