■後輩芸人に送ったアドバイス

 一方で、庶民感覚だけでなく年齢を重ねて得た含蓄もまた、役に深みを与えているのかもしれない。飯尾は自身がイライラした時の対処法についてウェブマガジンで明かしていたのだが、そんな時は「ただただ歩く」のだとか。景色が変わらないことはイライラに影響すると考えており、物理的に場所を変えると気持ちも変えられ、舞台でスベった時も何度も現場から歩いて帰ったという。

「かっこいいことをサラッと言えるところもある。以前、藤井隆が自身のツイッターで明かしていましたが、藤井があることで腹が立ち、『あいつグーで殴りたいんです』と言うと、これに飯尾は遠慮のかたまりの餃子を『どちらが食べられるかじゃんけんで決めよう。あいつを殴るなんてもったいないよ。なら藤井くん。そのグーを出して。僕はチョキをだすから』(原文ママ)と言ってくれたそうです」(同)

 お笑い評論家のラリー遠田氏は、飯尾のキャラクターについてこう分析する。

「飯尾さんの芸人としての魅力は、いつも自然で肩の力が抜けているところです。ネタを演じるときも、ギャグを披露するときも、バラエティ番組に出るときも、いつも変わらず落ち着いた雰囲気を漂わせています。その感じを見ていると癒やされるという人もいるし、お笑いとして見た場合にも、ほかの芸人とのギャップが激しいので思わず笑ってしまうという人もいます。『癒やし系の中年タレント』と『脱力系マイペース芸人』という2つの愛され要素を持っているところが、飯尾さんの最大の強みだと思います」

 バイプレイヤーとして存在感を見せている飯尾。過去にも、ドラマ「アンナチュラル」(TBS系)で見せた、パワハラを受ける技師役で話題になったことも。今後もバラエティ番組だけでなく、ドラマや映画で重宝されそうだ。(丸山ひろし)

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丸山ひろし

丸山ひろし

埼玉県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集業務に従事。その後ライターに転身し、現在はウェブニュースや、エンタメ関連の記事を中心に執筆している。

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