前面の行先表示器に行先(写真は中目黒行き)の駅名とともに駅ナンバリングを表示した、東京メトロ日比谷線の13000系(C)朝日新聞社
前面の行先表示器に行先(写真は中目黒行き)の駅名とともに駅ナンバリングを表示した、東京メトロ日比谷線の13000系(C)朝日新聞社
大阪市営地下鉄(現・Osaka Metro)梅田駅の出入口には、駅名とともに「M16」の駅ナンバリングが振られた(C)朝日新聞社
大阪市営地下鉄(現・Osaka Metro)梅田駅の出入口には、駅名とともに「M16」の駅ナンバリングが振られた(C)朝日新聞社
「H-06」の駅ナンバリングが振られた日比谷線の新駅、虎ノ門ヒルズ駅(C)朝日新聞社
「H-06」の駅ナンバリングが振られた日比谷線の新駅、虎ノ門ヒルズ駅(C)朝日新聞社

 21世紀に入ると、日本の鉄道の多くは訪日外国人にもわかりやすく案内することを目的に、駅ナンバリングが導入されている。主に路線記号と数字を組み合わせたもので、なかには苦悩がにじみ出たものもあるほか、新たな展開へ進んだケースもある。

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■日本初採用は横浜市交通局

 駅ナンバリングが初めて導入されたのは、横浜市営地下鉄だ。2002年のFIFAワールドカップの決勝戦が横浜国際総合競技場(現在はネーミングライツにより「日産スタジアム」と呼称)で開催されることに伴い、2002年4月15日から実施された。

 当時、路線はブルーラインのみで、西の湘南台から順に数字のみを振っていたが、2008年3月30日のグリーンライン開業に伴い、路線記号入りに変更された。

 ところが、ウィキペディアでは日本初の駅ナンバリングを長崎電気軌道と明記。それも「昭和末期」と断言している。同社に確認したところ、『ふりかえる二十年のあゆみ』という年史で、1983年の電停表示板には番号が振られているが、どの年に付番したのかという記録がないという。当時は「駅ナンバリング」という認識もなく、なんのために付番したのかも不明らしい。

 現在は駅ナンバリングと認識しているそうで、東から順に11から付番しているが、私は「日本初の駅ナンバリングは、公式記録が残り、目的がはっきりしている横浜市営地下鉄だ」と断言しよう。

■東京メトロと都営地下鉄の一斉導入以降、普及へ

 東京の地下鉄の大半を運営する営団地下鉄(帝都高速度交通営団)は、民営化により2004年4月1日から東京メトロ(東京地下鉄)として新たなスタートを切った。その目玉という位置づけなのか、都営地下鉄と共同で、地下鉄全路線全駅に駅ナンバリングを導入することになった。

 表示は「路線記号+ハイフン+数字」の組み合わせとなり、数字は西から順に振り、路線記号は原則としてローマ字の頭文字からとった。ただし、は行(H)、ま行(M)が重複する路線について、は行は日比谷線が「H」で半蔵門線が「Z」、ま行は丸ノ内線が「M」で都営三田線が「I」に落ち着いた。また、丸ノ内線分岐線の中野新橋~方南町は小文字の「m」、都営大江戸線は「お」のローマ字「O」が数字のzeroに間違いやすいことから「E」とした。

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駅ナンバリングを英語自動放送するのは関西地方の特徴